過去ログ - アンリ士郎「汝の欲す所を安価にて為せ!(キリッ」一同「へー」
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635:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/03/10(土) 22:04:59.37 ID:yheQES6i0
「そうです。生と死の境なんて、もともとないに等しいのです。
 試しに、あなたの頭のなかには、生きているものだけがありますか」


 僧は微笑したままの顔で訊いた。私は考えたあとかぶりを振る。
 頭を占拠しているのはサクラやシロウ、姉さまたちの思い出だけだ。そしてサクラはこの世にはもういないかもしれない。


「そうでしょう。頭のなかの意識というものには、生と死の区別がないのです。
 はじめから無なのです。あなたとこの私。この建物、外の雪。無です。夢そのものです」

「わたしが夢そのもの?」

「だって、夢は無そのものでしょう。あなたの夢を手にとって、誰か他の人に示せますか。
 あなたの頭のなかだけの現象。再現性がない。誰か他の人があなたを夢のなかでみるかもしれない。
 逆にあなたが、誰か他の人を夢のなかでみることもあるでしょう。
 その夢のなかには生きた人も死んだ人も区別なく出てきます。この世というよりも夢のようなものなのです。つまり無です」


 僧の顔から微笑が消えている。私は惹き寄せられるように僧の目を見つめた。


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