過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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801:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/04(月) 01:39:58.16 ID:ouorT+Ut0
だが、諦めずに戦って戦って、耐えて耐えて耐え忍んで、ボロボロになってでも立ち向かう、諦めの悪い姿勢があったこそ、絹旗は今も生きている。

諦めが人を殺すのなら、諦めない先に死以外のモノがあるのならば、一体何があるのか、それを知りたいと思った。

ドレス姿の少女は、その遠い目を見て、口を開いた。


「諦めないわね」

「ああ、あいつは諦めない。ああ言う馬鹿野郎精神旺盛な奴は、例え腕がもがれようが足が千切られようが諦めねえ大馬鹿野郎だ。よくもまぁ暗部で生き残れたもんだ。暗部の人間なら、100万分の一の確率で勝利するより、10割の確率で生き延びる道を選ぶ筈だろう?」


それが先程馬鹿馬鹿しく呟いた理由だ。


「明日も生き残るために任務を失敗してでも生きるのが暗部の人間の特徴だ。失敗したなら、次の任務でその失敗を返上すればいい」

「ええ、そうよね」


少女は頷く。


「で、なんで絹旗最愛は諦めないの?」

「それはな、きっと―――」



―――――細い細い蜘蛛の糸を、一縷の希望の光を待っていたからだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「………く……そ、まだで…す。まだ、まだ、」


絹旗は例えボロボロでも、何度でも立ち向かう。

―――諦めが人を殺す。人は諦めたその瞬間に死ぬのだから。

実際、絹旗のダメージは大きく、諦めて気を抜いた瞬間に倒れて死にそうだ。


「私は諦めません。超諦めたら死んじゃいますから。だったら私は諦めず、足掻いて足掻いて、明日も明後日も生き延びて、超強く、超超超強くなりたいです。七花さんと共にいる為に」


もう、顎の力が弱まってきた。フガフガと言葉が聴き辛くなっている。無理もない。顎はとうの昔にポンコツになって、今もしゃべっているのが奇蹟だ。血を多く失い、骨を折られ、立っている事すら危うい。

だが、それでも絹旗は諦めない。目にはもうそれしかなかった。希望に縋る意思と闘志だけが、瞳に炎を灯していた。


「そうですか。それでは私は引導を渡してあげましょう。――――これが最後です」


絹旗は希望を、蜘蛛の糸を待っている。生きる為に。なら、殺そうとする七実はその糸を切り落とそうと、絹旗の襟首をつかんでガラスの壁に叩きつけた。


「ガァッ!!」

「この一撃であなたを殺す事にします。『忍法足軽』で力を抑える事はしません。全身全霊を持って、あなたを殺します。七花の目の前で。例え、この右手が粉砕しようとも―――」


叩きつけられた絹旗は、倒れまいとガラスの壁に右手に爪を立てて掴んで、体勢を保った。どうやら、右腕だけは何とか動けそうだ。だが、その他全部が錆びた歯車の様にギシギシと音を立てて動かない。

それを見て、


(残りの弾数は………超精一杯捻り出してあと一撃………ですか。――――超上等。これでも超天の助け、超奇跡ってヤツです)


振るえる両足を何とか押さえつけ、痛みに歯を悔いしばって堪えながら、右手を握る。


(本当、本当に、羨ましくて、微笑ましい……)


七実は微笑んで。




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