過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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[sage saga]
2013/04/02(火) 03:22:03.98 ID:2lbVeYvl0
「違うわね。私の『狂犬発動』は全身の刺青を媒体にしている……と、言うよりはこれ自体が私の魂であり正体なの。これで全身の筋肉、神経から徐々に内部に侵入して、脳内…肉体の操作から記憶までを全て乗っ取って、操る。その時、人間の魂は二つはいらないから、もともといた魂を追い出して、体と言う器に私の魂を定着させるの」
その時の事を絵にしてみると、体を乗っ取った人間の魂は乗っ取られたからだと糸でくっ付いてついてくる様な感じだろう。時がたてばその糸が切れる。すると、その魂は二度と元の体には戻ってこない。
「結果として、その器には私の魂しか無くなる」
「それが、体が腐るのと何の関連性があるんだ?」
「その肉体と魂が、反り合わないからよ」
「反りが合わない?」
「そ。肉体と魂が拒絶反応を起こすと言った方がいいか…いや、私の魂と神経が、無理に筋肉と脳を支配した結果、肉体の維持が難しくなり、崩壊するって言った方がいいか。死人の体を操っていると言ったところかしら。だから人間が持つ体が自身の限界値以上の出力を制限する制御装置を外せる事も出来る」
「道理で俺が良く知っている狂犬は、誰も動きが見れない訳だ。――――そうだ。ふとした疑問だが、多重人格の奴はどうするんだ?」
「あれは、もともと一つだった魂……と言うか心が、何らかの原因で幾つかに分裂する現象よ。似ているようで、全然違う。多重人格でも魂は一つだから乗っ取れるわよ」
ともかく、と狂犬は要点を言った。
「私がたった十年おきで体を取り換えていたのは、そう言った事柄があって、段々体の力が弱まってゆくから、完全に動けなくなるのを防ぐためよ」
「なる程。―――良く分かったぜ。おめえがちょいちょいと体をやどかりみてぇに乗り換え続けるのは、老ける体が嫌だったって訳じゃねえんだな?」
「それも理由にあるけどね。女はいつだって若さが欲しいもの。」
と、狂犬は言う。
「て、事は今回も然りってか?」
「そう、今回も然り」
狂犬は怨めしそうに天を仰いだ。
「私たちは死んですぐの状態でこの世界にやって来た。完全に人体は修復された状態でね。蝙蝠はほとんど裸で。私は“童の姿”。―――私は二千人も生き返ったから、九百九十九人は一度砂になって滅んでいる」
「それを無理やり修復したって言うんなら、それは結構に難しいもんじゃねえのか?」
狂犬は頷く。
「『狂犬発動』は、“使った”体は砂になって消える様にできている。一度砂になった体を修復するのは至極困難よ。今のあの体は、どうやってかそれを修復して出来ていた。すぐに朽ちるのは道理ね。無事だった私の体も、いつ崩壊するかわからないわ」
「なるほどね。一騎当千の二千人の軍団も、良い所ばかりじゃねぇってのか」
「うまい話には裏がある様に、卑怯なまでに強い力にも大きな弱点があるのよ」
だったら、一度砂になった九百九十九の体の崩壊は時間の問題だ。また、砂になっていない一人も衰弱していく。
いずれ全員がこの世界の人間の体を乗っ取らなければならない。
そして、狂犬が危惧する事がもう一つ。
「人間がもつ魂の個数は一つ。これは絶対に覆ってはならない法則よ。なのに、この世界では私は二千人もいる。という事は、私の魂が二千等分されている事になる。そうなると……」
「体を縛る出力が下がる……ってことか」
狂犬は頷いた。
「考えられるのは二つ。本当に魂が二千個もあって、私の忍法が端から別の法則で成り立っていた。それか、二千等分された魂は肉体を縛る力が低下していて、ふわふわゆるふるした状態にいる。もしも後者なら、肉体が崩壊するまで秒読みね。制御装置を解除している状態なら尚の事」
「あと、千五百人もいるのか。そりゃ、大事になるな」
「………やるしかないわよ。生きる為だもの」
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