過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」 part2
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102:nubewo ◆sQkYhVdKvM[saga sage]
2012/03/27(火) 03:03:30.13 ID:Y0rItiJNo

「おかしくない……わよね」

鏡の向こうの自分に自問する。自信はないが、少しでも柔らかい表情をしようと思って、笑顔を作ってみる。
見つめても、やっぱり自信はもてなかった。
手際よく風呂上りのケアを済ませ、吹寄は洗面所を後にする。
少し体が火照ってはいるが、上条が来ないとも限らないので、さっさと寝間着に袖を通した。
パジャマも実は新調したヤツだ。一応何度か着たことはあるが、上条に見せたことはない。
寝間着で上条と過ごすのは恥ずかしいが、やはりこうした服でないとベッドに入ったときに落ち着かない。
辺りを見渡し、片づけを済ませる。最近は上条が入り浸っているせいでこまめに整理しているから、部屋に散らかったところはない。
あっという間に用事は済んでしまい、拍子抜けした感じと僅かな寂しさを覚えながら、吹寄はベッドに倒れこんだ。

「当麻と一緒に、寝ちゃうんだ……」

誘ったのは、上条のほうだと思う。自分も結構乗り気ではいたけれど。
今更ながらに、「お泊り」というイベントの重大性に思いをはせる。
高校生の自分達にとって、それはきっと、幼稚園のときのお泊まり会とは意味合いが違う。
キスや、いつもしていることで止まれば、不安がなくていい。けれど。
……漠然と心配を感じているのに、どこかで期待もしているような、不安定な感じ。
吹寄は横を向いて、掛け布団を丸めて抱きしめた。
布団に頬を寄せて、目を瞑る。皮膚に伝わる感触を上条からの愛撫に見立てて、空想する。

「当麻……」

かすれる声で呟いてみた。いけない、と思う。寂しさがさらに募ってしまった。
もうそろそろ、上条は来るだろうか。
パジャマの前の、ボタンを一つ上を留めた。茹だった体が少し冷めてきたからだ。
だけどその感触で全く逆の、上条にボタンを外されるときの感触を思い出してしまった。
まあ、それはいつものことだし、きっと胸を吸うところまではやるのだろうから、それはいい。
だけど最近はシンプルに吸うだけじゃなくて、吹寄を感じさせようとあれこれと策を練ってくるから、上条に乳房をさらしている時は全く油断ならないのだ。

「嫌じゃ、ないよ」

空想の中の上条が、やめて欲しいかと優しく聞くから、そう答えた。それもまた、本音だった。
今日の夜は、自分と上条はどこまで行くのだろう。


――――コンコンコンと、吹寄の部屋の扉が、ノックされた。


チャイムは鳴らない。近隣住人にばれると色々まずい相手を連れ込むのだし。
そして鍵も閉めていなかった。不用心だが、上条が室外で待機するほうがよっぽど不用心なので、今日はこれでいい。
吹寄が歓迎するより先に、上条が、さっと室内にもぐりこんできた。

「おかえり、当麻」
「ん。ただいま、制理」

そう言いあって、二人で照れる。だって新婚みたいだから。
吹寄は上条が手にした小さなリュックサックを受け取って、上条を部屋の中へと導いていく。



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