過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」 part2
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2:nubewo ◆sQkYhVdKvM[saga sage]
2012/03/04(日) 01:12:44.07 ID:iJDfMYBBo

ガサガサと、遠慮のない音が部屋に響く。

「ダンボールだらけだな」
「死角は多いね」

バタン、と何かの荷物が押しのけられた音に、吹寄と二人で飛び上がりそうになる。
怖がるように、吹寄がしがみついてきた。
姿勢の関係で、上条の胸に飛び込むのではなくて、吹寄の半分くらいさらけ出された胸に上条が顔をうずめる形になった。
窒息しないように気をつけながら、上条はぎゅっと力を込める吹寄に抗わず、空いた手で吹寄を撫でた。
万が一の時のためにも吹寄のはだけた胸元は何とかしておくべきだと思うのだが、生憎それを言い出すタイミングを失っている。

「おーいカミやん! それと姫神さん!」
「っ!」

抱きしめられているせいでどんな顔をしているのかは分からなかったが、その言葉で、吹寄がビクリと震えたのが分かった。

「制理」
「……」

小さく呼びかけながらトントンと腕を叩いてみるが、反応はなかった。
ただ、それが返事かのように、上条を抱く腕の力が強まった。
離すまいと、必死にしがみついているような、どこかそんな必死さを上条は感じていた。

「隠れてても無駄やでー? 分かってるとは思うけど。今からそっちに行くから」

青髪の呼びかけは中々巧妙だった。まるでこちらを視認しているような、そんな言い振り。
だけどそんなはずはない。何度も、今自分たちがいる場所が死角であることは確認している。
ただ、隠れてても無駄というのは、正しいのかもしれない。
ほんの少し、あの大覇星祭の埃っぽい荷物を乗り越える労力を惜しまなければこちらを見つけることが出来るのだから。
チェックメイトを掛けられたことを上条が認め、なんとかこの場を最小限の被害で乗り切ることを考えた、その矢先だった。

「ねえ、青髪」
「何?」
「ホントにこの部屋に上条と姫神がいるの?」
「……100パーセント保証はないけど。本命のスポットなんは事実やね」
「そう。……ねえ、もう止めといたら?」
「へ?」

一緒にいたクラスの女子が、そんなとても素晴らしい提案を、物憂い顔で青髪に説いていた。
ナイス、と上条は心の中で叫ぶ。

「男子が馬鹿やってる分には、まあ勝手にやってればって思うけどさ、今回は姫神も絡んでるんでしょ?」
「え? そらそうやけど」
「ここに二人がいるとして、無理矢理踏み込んで、アンタ姫神に恥かかす気なの?」

耳を澄ましても、それに対する反論を青髪がするところは聞こえなかった。



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