過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」 part2
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nubewo
◆sQkYhVdKvM
[saga sage]
2012/03/05(月) 00:58:58.57 ID:Lt4OQ3a6o
「嘘……」
「まあ、姫神が嘘って言う理由もよく分かる。けど、嘘で言ってる訳じゃないんだ」
姫神が、こちらを見つめていたはずの視線を、足元へと落とした。
「だからさ、誘ってくれたのを断っちまって本当に申し訳ないんだけど、別のヤツを探してくれないか」
「うん。私こそ。ごめん。全然気付かなかったから。全然……」
「バラすとクラスの連中がうるさいだろ? その、悪いんだけど姫神。この件、黙っといてくれるか?」
「……誰かに。話すことなんてないから」
「そっか。助かる」
上条は、ほっと一息ついた。これで重要な案件が、一つ解決した。
姫神には悪いが、まあ、ペアの男子なら探せばすぐ見つかるだろう。
青髪みたいな下心の塊みたいなのに引っかからないように、きちんとサポートだってするつもりだ。
「……上条君の」
「ん?」
「彼女さんって」
「ああ。……その、実はだ。吹寄なんだ」
「あ……」
パズルのピースがカチンとはまったように、姫神はその事実を納得した。
その、自分で覚えた納得感に、衝撃を覚える。だってそれは、敗北宣言みたいだ。
だけど、吹寄が見せていたここ最近の態度の変化が、上条と恋仲になったからだと思えば至極分かりやすいのだ。
心臓がキリキリと締め付けられるような感覚を覚える。
吹寄制理という女の子の立ち居地は、姫神の手に届かないようなものじゃない。
クラスメイトであるというその一点において、姫神もまた、吹寄と同程度の居場所にはいたはずなのだから。
「姫神、あいつと仲良いだろ? その、彼氏面でこういうこと言うのっていいのか悪いのか分からないんだけどさ、
アイツも苦労してるヤツだから、これからも仲良くしてやってくれよ」
「……」
「ペアの相手、探すのに困ったら教えてくれ。俺も協力するしさ」
「……。うん……」
「さて、それじゃそろそろ教室に戻らないとな」
ほっとした表情で、快活に上条がそう相談した。
その朗らかさが、今は胸に突き刺さる。
これ以上、もう、上条と二人きりで話をするのは、耐えられなかった。
雑然とした教室に飛び込んで、早く第三者の中に溶けてしまいたかった。
上条の傍には、もう、いられなかった。
……だから、さっさと足を運んで、逃げてしまおうと思ったのに。
「――――いた!!!! おい! 上条と姫神さんが話してる!」
勢い勇んだ、思慮の足りないクラスメイトの男子が、廊下に響く声でそんなことを叫んでいた。
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