過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」 part2
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5:nubewo ◆sQkYhVdKvM[saga sage]
2012/03/04(日) 01:14:57.31 ID:iJDfMYBBo

心外な意見だった。だって上条に怒る理由なんてないことくらい、上条だって分かっているはずだ。
こんな態度を自分がとる理由を、どうして察してくれないのだろう。

「とりあえず、今は外の様子見てさっさと戻るか?」
「……」
「なあ、制理」
「そうね、それが一番いいんでしょうね」

納得していないのが分かる声で、吹寄がそう答えた。
上条はその態度にますます困惑してしまう。
態度と言葉がちぐはぐだと、どちらに従うべきかが分からないのだ。
吹寄に他の提案があるなら誠心誠意それを検討するつもりなのに、吹寄からそういう言葉はなかった。
ただ。

「さっさと帰って、姫神と仲良くしてればいいわよ」

不貞腐れた表情の中に劣等感を覗かせて、吹寄は上条に嫌味を言った。

「何度でも言うけど、俺が惚れてて、彼女でいて欲しい女の子は吹寄制理って言うんだ」
「……きっかけは、あんなのだったじゃない」
「関係ない。今好きなのは制理なんだ。嘘じゃない」
「まだ一週間やそこらの仲でしょうが」

ネガティブな要素を見つけていくと、切りがなかった。

「……なあ。もう、バラしちまいたいか?」
「えっ?」

その上条の提案に、吹寄は虚を突かれた。

「制理がいいのなら、そういう選択肢もあるにはあるんだ。
 俺と制理が最近付き合い始めたことを、クラスの連中の前ではっきり宣言すればさ、変な噂は立たなくなる。
 姫神との仲をあれこれ疑う奴もいなくなる」
「……」

吹寄は言葉を返すのを躊躇った。
止まりかけていた手を動かして、再びブラを整えに掛かる。
上条がいつもみたいに寄り添って、身だしなみを整えるのを手伝ってくれ始めた。
今度は、抗おうとは思わなかった。

「バラすって方法はいつでもやれるんだ。この後すぐにだって。
 だから、制理が今みたいな状態がどうしても嫌なら、宣言しちまおう。
 ……俺は、止めたいと思ってるけどさ」
「姫神にばれるのが嫌だから?」
「怒るぞ」

ひう、と自分の呼吸が乱れたのを吹寄は感じていた。
こんな風に怒りを向けられたのは、付き合い始めてから初めてだった。
ちょっと怖くて、だけど叱られて嬉しかった。



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