103:ブラジャーの人[saga]
2012/03/23(金) 00:35:41.79 ID:X7cwmj8Z0
「日本からたくさん食料持ってきて正解だったね」
「そォいう問題……か?」
「あ、いや大丈夫です大丈夫。お二人には必ず素晴らしいディナーをご用意しますですっ」
「し、失礼しました。お見苦しいところを…」
コックのタマネギ隊員とマッチ号が、慌てて弁解する。「そうだ、今日は魚料理にしましょう」と言い繕って、コックは去って行った。
「もういませんが、ご紹介します。さっき走ってたのが、我がマリネラ王国のパタリロ殿下です。十歳の時に戴冠は済ませてますが、『殿下』とお呼び下さい」
「そっか、普通は陛下、だよね」
「本人のこだわりでして。成人か結婚したら、嫌でも『陛下』ですけどね」
マッチ号は案内を再開する。国王を捕まえるのは困難だと判断し、当初の予定どおりに客人に休んでもらうつもりである。
あれこれ部屋の説明を終えて、マッチ号も二人に挨拶をして出て行った。
ようやく二人きりになれて、この旅行(そもそも旅行なのかさえも怪しい)の真相を訊き出すチャンスが巡って来た。なのに打ち止めは、部屋の中を物色するのに忙しくて後回しにしてしまう。
「すごーい、外国のお風呂だぁー」
「すごーい、お姫様ベッドだぁー」
「すごーい、カーテンがひらひらレースだぁー」
飛行機のファーストクラスでのソファに、負けずとも劣らない良い座り心地の長椅子に腰を沈めていた一方通行は、ちょこまか動き回る打ち止めを、肩肘ついて眺めていた。
(あーァ、大人しくしてらンねェのかコイツは)
「すごーい、丸焼きだぁー」
「……丸焼き?」
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