222:ブラジャーの人[saga]
2012/04/08(日) 23:32:54.17 ID:FBwAHyRF0
親になる。
その言葉に、テーブルにつきっぱなしだった肘を離した一方通行。動じていないように見えたのか、と自分の振舞いを思い起こす。
確かに、打ち止めと子供を守らなければと、動揺や戸惑いを表に出さないように心掛けていた。
日々成長していく子供に、言い知れぬ興奮と期待がどんどん高まっていく。
それが『親』の正しい姿なのだろうと己の心に安堵したが、片方で不安が高まっていくのも確かだ。
「そう見えるか……」
「なんだ、実は動じていたのか」
「子供を持つつもりなンて、無かったからな」
持てる資格など……。
打ち止めが強く望みを示してくれたなら、いつか。
そう逃げてしまうと思っていた。
まるで「面倒だ」「子供なんて欲しくなかった」とも取られかねない物言いだったが、そうではないと分かっている。バンコランは今日、打ち止めと数時間を一緒に過ごしていたから。
こうして一方通行と二人で会話するのが初めてなバンコランは知らないが、今夜の一方通行からは、普段聞けないセリフがよく出てくる。
「フフフ、それは私こそ そうだったよ。なにせ男同士だしな」
「まァそりゃそォだ」
だからなのか。女でなければ子は宿らない。それなのに、愛する男はフィガロを身籠った。
親になることはないはずだったバンコランなのに、いきなり予定外の『父親』となってしまった彼に、一方通行は不安の解消を求めているのかもしれない。無意識にでも。
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