過去ログ - インデックス「当方に迎撃の用意あり」
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237:人の上に咲く花など[saga]
2012/05/12(土) 23:01:39.99 ID:3keTbGPj0

神父の笑みの種類が、その一言を境に如実に変化した。
右手が唇の前で空を切り、ありもしない煙草を掠めとる。
おなじみの仕草の後、その肩口が大きくすくめられた。


「冗談だよ、インデックス。そう目くじらを立てないでくれ」


神父は額に白いカードを当てたかと思うと、口唇を二度割って二節の単語を紡いだ。
途端に、透明の靄で覆われたようだった男の顔立ちが誰の目にも――その場に立ち会ったのはインデックス一人だったが――鮮明に浮かび上がってくる。
認識阻害の魔術が解除されたのだ。


「いつもの姿で応対していたら、教会に誰も寄りつかなくなるだろう。営業のためには仕方ないんだよ」

「……びっくりした。頭の可哀想な人みたいな恰好してるって、自覚はあったんだ」

「心外だな。僕はすこぶる常識人だよ」

「常識人は普通、好きな女の子相手に変装したまま応対したりしないんだよ……」


ぶつくさ、心の声が無意識に外へ出てしまう。
一度出会ってしまえば、かっちり着込んだ神父服との鮮やかすぎるコントラストも相まって、絶対に忘れられないだろう奇抜な風貌。
「頭の可哀想な人みたいな恰好」の神父は、インデックスの暴言も愚痴も耳に入らなかったかのような素振りだった。


「改めまして、ようこそ当教会へ。本日はいかな御用件ですか、迷える子羊風シスターさん」

「人をフレンチのメニューっぽく呼ばないでほしいんだよ!」



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