過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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459: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/07/23(月) 02:50:13.07 ID:bSGNlsgYo

 進路希望調査。見出しには大きくそう書かれていた。
 今日は放課後に進路相談があったのを、すっかり失念していた。

 仕方がない、二人には先に行って待っていてもらおう。
 我ながら勝手だが、明日では遅い。一日でも早く伝えたかった。
 だが、それはそれとして。

「進路か……」

 誰にともなく独り言ちる。
 もう三年生だというのに、意識するのは初めて。
 いや、本当は目を背けて見ない振りをしていた。

 以前から、延々と続く戦いの日々に疲れを感じてはいた。
 魔法少女として魔女を倒しても金品などの報酬は得られず、仕事として成り立たない。
それでも正義という慰めと、使命感という呪縛があったから、なんとかやってこれた。

 でも、今は違う。もうこんなこと、いつまでも続けたくはない。
 かと言って、何か明確な将来のヴィジョンがあるわけでもなく。
それでも続けなければならない理由を知ってしまった。

 まったく、お先真っ暗という言葉がぴったり当てはまる。
今のマミには一年後、一ヶ月後はおろか、明日の自分の姿さえイメージできなかった。
 道を確かに定め、道の先に希望があると信じられるなら歩いていける。
たとえ、どれほど過酷であっても。

 けれどマミには道が見えない。自らの希望も、目標も。
 キュゥべえへの願いは、「生きたい」ただそれだけ。
その通り、キュゥべえに頼まれた戦い以外には、ただ生きてきただけ。

 誰かの為、キュゥべえの為に尽くすばかりで、自分の為に何をしてきたのだろう。
何をしたかったのだろう。何かを積み上げてきた実感も、充足も得られず、ただ必死に命を繋いできた。
誰に愛されることもなく。

 昨夜、数年ぶりに自ら課していた使命からマミは解き放たれた。
しかし自由とはほど遠く、様々なしがらみに囚われたままで目的を見失ったマミには、
目指す未来など見つけられるはずがなかった。

 頬杖をつき、ぼんやり遠くの空を眺めながら、マミは昨夜のことを思い出す。
 真実を求めて、知らされたのは残酷な現実。何か得た訳でもなく、大切な友達を失った、
たぶん人生で二番目に最悪な日。



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