過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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636: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/10/01(月) 03:04:54.77 ID:RipvUQ6So

「な……んだと……?」

 僅かに一瞬、杏子に隠し切れない動揺が走った。
 化け物相手なら、どんな怪物だろうと怯みはしない。残虐にもなれる。
 魔法少女なら自分と同類、遠慮も容赦も必要ない。共に戦いに身を置く者。
どんな理由だろうと望んで選択した結果なのだから。

 だが、ただの人間、それも同じ年頃の少女を殺すなど経験あるはずがない。
 言うなれば彼女は、杏子が引く、ある一線の"向こう側"の人間。
 "向こう側"の人間とは関わりたくなかったし、関わってはいけないという意識もあった。
ただ、必要ならば利用するだけの関係で。

 そもそも杏子は取り憑いている、としか聞いていない。
当然、憑いているなら祓うこともできる、魔女の口付けと似たようなものとばかり思っていた。
あわよくば誰の犠牲も払わず倒せるものと。

 そんな甘い話がいつもいつも転がっているほど、この世界は甘くない。
 とっくに理解も覚悟もしていたはずなのに。
 もしかしたら、自分たち魔法少女も化け物に――魔女に変わるかもしれないのに。

 零の忠告も忘れ、杏子が身を乗り出しかけた時、

「座ってな、あんこちゃん。それと、あんまり見るのもまずい。
気付かれるからな」

 頭頂部に感触。思いの外、強い力で身体が沈み、半ば強制的に着席させられる。
 零の大きな手に頭のてっぺんを押さえつけられていた。



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