過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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941: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2013/01/12(土) 04:01:45.45 ID:4pqoiOsuo

 最後に、女は自分の姿を一瞥する。
 その着衣は喪服のような黒一色。
 まだ夜は冷え込む季節。
傘も差さずに濡れ鼠になっているにも関わらず、ちっとも寒さは感じなかった。
それどころか火照って熱いくらいだった。 
 
 遠くから近付いてくるヘッドライト。 
 少年が、靴に入った水を気にして片足立ちになる。
 
 今しかない。
 重なり合った、あらゆる偶然が背中を押した。
 間違いない。天が味方していると確信できた。

 倫理も道徳も知らない。
 常識も損得も関係ない。
 良心なんてブレーキは、とっくに壊れていた。
 女を縛るものは何もなかった。
 
 女は足を踏み出す。
 最後の一線を、踏み越える。

 静かに少年に駆け寄り――。
 背中を突き飛ばした。
 それほど強くはなかったが、少年はつんのめりながら車道の中央に進む。
 
 けたたましいクラクションと急ブレーキ。ふたつの音が混ざり合って、夜の闇を切り裂く。 
 その数瞬の後。



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