過去ログ - 勇者「淫魔の国の王になったわけだが」
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109: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:31:52.14 ID:h7sEMOtHo
ワルキューレは、堕女神に導かれるままに、城内を歩く。
雨に濡れた肌が、歩くたびに熱を奪われて寒くなる。
戦っている時は体の高まりによって相殺されていたが、終われば寒くて仕方が無い。
ふるふると震え始めるが、それを何とか隠そうと努める。
目の前を歩いているのは、自らの力を奪い、地下へと幽閉した存在なのだから。
以下略



110: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:32:26.84 ID:h7sEMOtHo
勇者が自室で着替えていると、ドアが叩かれる。
ノックの音にはどこか乱れがあり、三年間毎日聞き続けた彼には、それだけで違和感だった。

勇者「堕女神……か?入れよ」

以下略



111: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:32:53.06 ID:h7sEMOtHo
堕女神「……楽しんでおられましたね」

勇者「ああ、斬り合うのは久々だった。楽しかったよ」

堕女神「…ならば、何故『負けたかった』などと?」
以下略



112: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:34:36.05 ID:h7sEMOtHo
そこまで言いかけ、咄嗟に言葉を切る。
今の発言は……不用意、だった。

今の言い方では、彼が上位の「ワルキューレ」に比肩、いやそれ以上の力を備えている事になる。
普通ならば、それは誇るべき事のはずだ。
以下略



113: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:35:15.18 ID:h7sEMOtHo
勇者「酷く傲慢だろう。……軽蔑してくれ」

その言葉に、彼女の沈黙は更に長引く。
軽蔑の感情から、ではない。
諦念、自嘲、そして物悲しさをたたえた彼の顔を、見てしまったからだ。
以下略



114: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:35:46.44 ID:h7sEMOtHo
堕女神「…『強くなる』のは、怖い事なのですか?」

勇者「……砦の中で魔物と出くわしても、恐怖も昂揚もなかった。……まるで、『作業』だったんだよ。戦いなんかじゃない」

堕女神「『作業』……」
以下略



115: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:37:14.45 ID:h7sEMOtHo
こんこん、と、再びノックの音が聞こえる。
ふわりとした諦観が充満する室内の空気が、それで若干和らいだ。

堕女神「何用ですか?」

以下略



116: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:37:42.62 ID:h7sEMOtHo
城内を大股で歩いていき、浴場につくと彼は即座に服を脱ぎ、突進するように浴室へと踏み入った。
何かを振り払うように、無遠慮にモザイク模様の濡れた床を踏み締めながら一直線に浴槽へ。

かけ湯をする事もなく、飛び込むように――否、文字通りに飛び込んだ。
どぷん、と水柱を立てて湯の中へ身体を放り込むと、すぐに顔を浴槽へと浸ける。
以下略



117: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:39:13.47 ID:h7sEMOtHo
勇者「……ああ、もう!恥ずかしいな!」

一応の結論を言葉にして、何とか身体に走る妙な感覚を鎮める。
未だに妙な疼きは残るが、どうにか落ち着いたようだ。
そこでやっと、湯に浸かっている事を実感できた。
以下略



118: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:39:46.12 ID:h7sEMOtHo
その後、妙に気まずい晩餐を終え、約束の「夜」がやって来る。
チラチラと熱っぽい視線を向ける堕女神を意識しながらでは、夕餉の味など分かりもしなかった。
勇者は実のところ、彼女を抱く気は無かった。
勝者の権利、と言えば聞こえは良いが、これは実質、レイプにしかならない。
勝ちはしたが、彼女に対する一種の崇敬は未だなくなったわけではない。
以下略



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