過去ログ - 勇者「淫魔の国の王になったわけだが」
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138: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:56:03.06 ID:h7sEMOtHo
額に触れられた時から、気づけば倦怠感はかなり薄れていた。
波紋のように暖かさが全身に広がって、祓われたように不調が追い出されていた。
呪いを解かれた剣に意思があるとすれば、このように感じたのだろうか?

ワルキューレ「……私に、何かしたか?」

堕女神「いえ。どうしました?」

ワルキューレ「体が、何だか楽になった気がするんだ。……触れられてから」

堕女神「気のせいでしょう。病や外傷ならともかく、風邪は私には治せません」

ワルキューレ「……そうなのか」

堕女神「厳密には、できなくもありませんが……副作用として、一週間ほど強烈な催淫効果が持続します。それでも良いなら」

ワルキューレ「遠慮する!」

堕女神「賢明です」

枕を除け、彼女の体をヘッドボードによりかからせながら、言葉を交わす。
仕草の一つ一つが彼女への労りに満ちて、在りし日の神性すら匂わせるように。
「愛」を司る女神であった、過去の。

堕女神「失礼します。お熱いので、お気を付け下さいませ」

彼女の太腿部分にかぶさる布団の上に、見慣れない器の載った盆を載せる。
陶器で作られた、地味な色合いの鍋のような器。
小さな穴の開いた陶器の蓋が被せられており、中身は未だ見えない。

滞りなく彼女の前に差し出されると、次いで、蓋が取り払われた。
ほわぁ、と湯気が立ち上り、鼻孔をくすぐり、胃を起こすような良い香りが広がった。
器の中には、くつくつと米が煮えていた。
生米から煮られ、鶏から取った出汁が溶け込み、少量の塩で整えられた粥。
散らされた葱が雪の中芽吹く緑をも想起させる、豪奢な料理とも違うが、確実に「美しい」と評せる料理。


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