過去ログ - 勇者「淫魔の国の王になったわけだが」
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◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]
2012/03/26(月) 05:27:02.79 ID:5OyPL7Mao
不快な、それでいて強烈で正体不明な快感。
邪な妖精が、全身の皮膚をくまなく内側からくすぐり、甘噛むような。
魔法を使われたのではないかとすら疑いたくなる程だ。
秘所を撫でる指先すら忘れ、目をぎゅうっと瞑ったまま全身を縮めさせる。
頭上で拘束された手首で体重を支え、少しでもその「不快な快感」を薄めようとする。
それは、頬を張られた子供が、頬に手を添えて少しでも痛みを和らげようとするのと同じ。
体の中を跳ね回り、「不快な快感」をもたらしつづける韻律。
意思に反して何度も脳内でリフレインし、喰らいついたように離れてくれない。
手首にかかる痛みで、何とか意識を保とうとする。
未だに全身には余韻が残り、足先は攣ってしまいそうなほどに、足指の先までも窄めている。
唇を口内に噛み込み、とにかく、その余韻を追い出そうと。
だが、彼女は忘れていた。
その様、――いや、その「ザマ」はずっと、目の前の淫魔に見られていたのに。
サキュバスA「……うふ。どうしたの?痛い事なんて、してないのに」
ワルキューレ「……!」
サキュバスA「なんちゃって。ちゃんと分かっているから安心してくださいな」
ワルキューレ「…ふ、ん……淫魔といっても……大した事、ない……じゃないか」
サキュバスA「楽しい事言ってくれるじゃない。……『淫魔らしい事』をするのは、これからよ?」
ワルキューレ「…何、を……ん、ぶぅ…!」
怖気に似た快感の余韻が抜け切っていない状態で、何かが彼女の口を塞いだ。
何か、としか認識できてはいない。
暖かく、唇にぴったりと張り付き、ときおり甘い空気を口内に直接送り込む「何か」。
仮に、最高位の魔族が魔力を注ぎ込んで果実を育てたら、こういう香りになるのだろうか。
香りだけではなく、舌先にほのかな甘みすら届ける空気。
彼女は、目を限界まで見開いてようやく気付いた。
「淫魔」に唇を奪われている最中、という事に。
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