過去ログ - 黒井社長「行くぞっ!!青二才っ!!」(アイマスSS)
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2012/03/29(木) 12:16:13.39 ID:lnWJ8GSr0
「しっかし、相変わらずデカいお屋敷ですね」

タクシーの窓から見えるのはお屋敷の塀ばかりで、一向に門が見えない。東京ドームばりの敷地面積らしいのだが、もっとあるんじゃないのか。

「今度作る事務所は、ココに負けないくらいの大きなものにしよう」

どんな会社だよ、と思いつつも、この人ならホントに作りかねないので怖い。どこまで冗談なんだか。

「あ、ようやく見えてきましたよ社長。さて、そろそろ準備を……っ!?」

「ん、どうしたんだねキミィ?何か面白いものでも……っ!?」

俺と社長は、屋敷の門の前に立つひとりの人物の姿を見て驚愕した。


 ―――透き通るような白い肌。銀色に輝く髪を、藤の花のような薄紫のかんざしですっきりと纏めて―――

 ―――すらりとした長躯は女性特有の肉感的な丸みを帯びており、抜群のプロポーションを藤色のシンプルな着物の中に収めて―――

 ―――桜の花びらのような薄い唇、高い鼻筋、磨き上げたサファイアのように紫色に輝く瞳の―――


人間離れした、まるで妖精のようなとんでもない美女がいた。

「ようこそ遠路はるばるお越しくださいました。父の客人の黒井崇男氏と秘書の方とお見受け致しますが、相違ございませんか」

深々とおじぎした後、彼女は鈴の音のような透き通った美しい声で俺と社長に問いかけた。あまりの衝撃に言葉が出ない俺に変わって、黒井社長
が返事をする。

「ああそうだ。遅れてしまい申し訳ない。案内をお願いしても良いかな?お嬢さん」

「かしこまりました。ではどうぞこちらへ」

そう言うと、彼女はしずしずと屋敷の中へ入っていく。ようやく平常心を取り戻した俺は、先に彼女の後について屋敷に入った社長から少し遅れ
て、慌ててついて行った。

門から屋敷まで少し距離があり、俺達3人はしばし無言で歩く。ようやく停止していた思考が働き始め、俺は前を歩く女性に目を向ける。身体的
特徴は良く似ているが、まさか、いやでも……

玄関に到着して、ようやく俺は彼女に話しかける事が出来た。

「あ、……あのっ……!」

「はい?」

すっと、俺の目をまっすぐ見て彼女は返事をする。くそ、緊張してうまく声が出ない……!

「ツキコ、なのか……?」

すると女性は少し視線を上に向けて考え込み、やがてやや困ったように薄く微笑むと

「もしや人違いをなされているのでは?わたくしはツキコという名ではございませんし、この屋敷にはツキコという名の者はおりませんが……」

と言った。

……ああそうか。もう『ツキコ』はいないのか。

「……行くよキミィ」

女性と社長に促されて、俺は屋敷の中へと入った。








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