過去ログ - 御坂「めでたしめでたし……って。終る訳ないじゃない」
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/03/31(土) 20:12:17.39 ID:Qh34JWxi0

 痛みも汚れもない、天然モノの金糸の髪を惜しげもなく揺らすフレンダは声高に口にする。
 日本語を自由に操る彼女が母国の言語に不自由することはあり得ない。
 立て板に水を流すような。
 他人が聞き惚れそうになる抑揚で。

 再び。
 ねえ、と。


「Hey,missy!」


 己の手元へと舞い戻る硬貨。
 フレンダはタイミングを見計らい右手の甲を差し出して、左手の掌で蓋をした。
 廃れた街のはずれにある賭場の女店主をイメージ。
 すかさず決め台詞。


「Heads or tails?」


 さあ、お嬢さん。アンタの運命は表裏どっち?


「……」


 遊び感覚が抜けきれないニヤけ顔でフレンダに答えを求められたが、問われた布束は応じずに黙りこくった。
 ただ『お嬢さん』とに呼ばれたことが少し可笑く、柄にもなく吹き出しそうになる。
 
 目の下にある消えない隈や、幼年から大人に囲まれた環境に居たおかげで得た落ち着きは年にくらべ不相応。
 自分でも所属する長点上機学園の制服よりも研究員用の白衣のほうが適切であると感じることすらある。
 青春を謳歌する若々しさは『学習装置』及び関連の研究の対価として消失したのだろう。
 故に。
 布束の実年齢を知らぬ人物からは、いくらか年をかさ増しされることが常。
 
 だから、知人の域にもいないフレンダが呼んだ『お嬢さん』のフレーズは、新鮮さを通り越しある意味珍妙であった。



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