過去ログ - 御坂「めでたしめでたし……って。終る訳ないじゃない」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/03/31(土) 19:20:21.86 ID:Qh34JWxi0
――2.八月二十三日A

 キンッ。

 弾かれた一枚の硬貨が軽快に宙を舞った。
 くるりくるりと回る度、裏表の面が交互にあらわれ日の光を反射する。
 手元から四十センチ程の高さが浮遊の限界点らしく。
 頂点に到達したあとは重力にされるがままだ。
 
 逆U字を描く硬貨に目を細め、銅色の円を弾いた少女本人のか細い喉から流暢な英語が発せられる。


「――,Hey」


 ねえ、と。
 口の端を上げるのはフレンダ=セイヴェルン。

 青にも緑にもみえる碧眼を三日月型に歪曲させ、勝気な口調が彼女らしさを際立たせた。
 逆U字の曲線を追うように動いた顔に付き従う形で、頬にかかる髪束がうねる。
 枝毛一つない金糸の髪。
 彼女の波打つ金糸の髪の滑らかさが彼女の血統が外来のものであることを裏付ていた。

 投薬や洗脳による開発術の影響で生来の毛髪が変色する事例はこの学園都市において珍しくない。
 代表例を上げれば『反射』の影響によって見事な白髪頭へと変貌をとげた『第一位』だろうか。
 街へと足をむければ、金髪、赤髪、白髪に青髪。果てには桃色の髪まで存在する。

 開発術を原因とせずとも、髪を脱色なり染色なりをする愉快な生徒は続出する一方だ。
 
 学園都市は学生の街であり学生を叱責する大人は極少数。
 そんな環境の中、ヤンチャだったりオシャレだったりする学生は、容易に非行や自己主張の一手段として、黒髪からの脱皮をはかる。

 結果。
 二百三十万の都市にはカラフルな頭髪を持つ人々が大量発生。
 生来の髪色を大事にする黒髪派が大多数とはいえ、学園都市外に比べれば色彩の鮮やかさは豊富であろう。
 
 しかし。
 結局は人工モノに過ぎず天然モノの前では無力な訳で。
 その希少性はこの街において原石並……とまで言うと過大評価かもしれない。
 ただ、黒髪を除く毛色の天然モノを持つのはフレンダ=セイヴェルンの他は、
 第七学区に居る銀髪ちびっ子シスターや、最近妙に不良集団と仲良しになっているフレンダの妹があげられよう。


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