過去ログ - 御坂「めでたしめでたし……って。終る訳ないじゃない」
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[saga sage]
2012/03/30(金) 15:50:15.93 ID:2641Ju7H0
――1.八月二十三日@
「またな、御坂」
背の向こうから放たれた言葉。
音の発生源は別れの挨拶を済ませると馴れた手つきで松葉杖をつく。
御坂とは反対方向へ。彼を待つ人が居る家へ。
感慨深げな様子は見て取れず日常と非日常の行き来が彼にとっての『普通』であると。
そう、言わんばかりの背中であった。
「……」
松葉杖がコツコツとテンポよく鉄橋を叩く音が遠のいていく。
御坂は無言のままその場で立ち尽くした。
強力な接着剤で靴裏と地面がひっついてしまったような硬直。
眼は見開かれ、彼――上条当麻の放った言葉が何度も脳裏でグルグルと循環する。
鼓膜にびっとりと纏わりついた少年の声色。
それは、『有り触れた』といった形容がよく似合う特徴に乏しい少年にお似合いで。
人ごみの雑踏の中であったなら即座に雑音の波にのまれてしまいそうな。
けれど。
彼女にとっては。
十四年生きた中で最も身体に激震が走る程に特別な「何か」。
「ビリビリ」と呼ばれる度に雷撃と共に訂正しつづけた己の名前。
何度「私の名前は御坂美琴である」と声を荒げた事か。
物覚えが悪いのかそもそも覚える気がなかったのか。
今では定かではないが。
不良に囲まれ「いやーお待たせー」と意味不明な声かけをされた繁華街の夜の救出劇。
そんな初めての出会いから幾日幾十日。長かったようで短かった日時が流れ。
ついに昨日。一生記憶に残るであろう八月二十一日。
不幸だと嘆いてばかりの少年に―――、御坂美琴は正真正銘『救出』された。
御坂のみならず。
彼女と遺伝子レベルで同質かつ同一の存在、おおよそ一万人すらも救ってみせた彼。
文句のつけようもない、本物のヒーローと成った上条の呟きに、御坂の全身は焼けるように燃え上がる。
(―――ッ!!!)
奥底から湧きあがる激流。経験のない浮揚感。五臓六腑の隅々まで侵食していく彼の声。
『御坂』
それだけ。たったそれだけ。だと言うに。
何故。こうも緩む口元を我慢することが出来ないのだろう。
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