過去ログ - 結「やっぱり桂馬君には敵わないよなあ」(神のみSS)
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◆/5mmo/htMU
[saga]
2012/04/07(土) 21:00:48.98 ID:AfM0/nRk0
***
学園に到着して、私はしばし待つ。下校時刻を少し過ぎた辺りだろうか。昇降口から生徒が大勢出て来る。
……懐かしいなあ、昔はこうやって、よく美生様を待っていたよなあ。少し思い出に浸ってから、軽く頭を振って忘れる。
もうあの頃には戻れないのだ。今は仕事に集中しよう。私を指名したお客様はまだ来ていないようだ。そうしてしばらく
昇降口を見ていると、生徒達の様子が何か変だ。まるで誰かをよけるような形で、人垣が出来ていく。VIPでも出て来る
のだろうか。そして人垣の奥から出て来た人物を見て、私は固まった。
そこから出て来たのは、上品な着物に身を包んだ美しい女生徒だった。周りの生徒の視線をまるで気にするわけでもなく、
静かにしかし堂々とした歩みでこちらに向かってくる。美しい黒髪を湛えて、目鼻立ちのはっきりしたその顔は、舞島市に
住む者なら誰もが知っている。特に上流階級で働いていた私は、幼い頃からよく知っていた。
「お待たせ致しました。森田さんで御座いますね。お電話をした五位堂です。本日は宜しくお願い致します」
「よっ、よろしくお願いします……っ!!ほ……っ、本日は御指名ありがとうございます」
舞島市一番の名家のお嬢様を前に、私はやや怖気づいてしまった。彼女は自由奔放でお転婆にお育ちになった美生様と
違って、厳格に躾けられてお育ちになった純粋培養の本物のお嬢様だ。粗相は許されない。
「そっ……、それでは参りましょうか……。本日はどちらまで……?」
「はい。こちらまでお願いします」
そっと差し出されたメモ用紙に書かれていたのは、駅前のパン屋だった。こんな庶民御用達の店に何の用だろう。しかし
無粋な詮索をするべきではない。私はメモを受け取ると、静かにタクシーを走らせた。こんなに緊張する運転は、先代の
社長を乗せた時以来だ。バックミラー越しに結お嬢様を見ると、目を閉じて静かに座っておられている。話しかけるなと
いう合図だろうか。ふと後ろを見ると、これまた高そうなハイヤーが停まっていて、運転席から初老の男性がハンカチを
食いちぎらんばかりの勢いで引っ張り、恨めしそうな目でこちらを睨んでいる。あの車が五位堂家の送迎車ではないのか?
どうしてこちらに乗るんだろう。謎は深まるばかりである。
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