18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/04/10(火) 21:14:35.16 ID:9lF7rWIo0
金属の器にあった肉を食べ終えた私は、爪を袖の羽根で拭いて、床の上で再び頭を下げた。
言葉は通じなくとも、きっと身ぶりは通じてくれるはずだ。
『ありがとう、現地魔族の方よ、私は救われた』
「あ、お礼?い、いいです、はい、えへへ」
顔を上げて、彼の目を見る。
深く青い目に、濃紺の毛髪。
この方は恩人だ。
『私は、クァルケルだ』
「えっと……」
反応が薄い。私は爪を自身の顔に向けて、もう一度言う。
『クァルケル』
「……名前?カルケル?」
私の名を認識してくれたらしい。だが発音が違う。
『クァ、ルケル』
「くあ、るける…?」
『そう、クァルケル』
「カルケル!あなた、カルケルっていうのね!」
カァチルの細かい発音にまで口を挟むつもりはないが、名前を間違えられるのはあまり心地の良いものではなかった。
だが仕方ない。彼らが呼びやすい名で良いだろう。
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