過去ログ - まどか「あの程度で『殺し合い』ねぇ……」
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242:1[saga]
2012/07/28(土) 07:33:32.91 ID:Bf6Tz+ic0
ほむら(…そうやって弱みに付け込むのがあいつの手口)

杏子「…翌朝、親父の教会は押しかける人でごった返していた。それから毎日おっかなくなるほどの勢いで信者は増えていった」

杏子「あたしはあたしで、晴れて魔法少女の仲間入りさ。マミに弟子入りして、色々と修行したよ」

さやか「マミさんの?」

杏子「ああ、あたしはマミの一番弟子だったんだ。…まあ結局、最期まであたし以外の弟子は取らなかったみたいだけどね」

さやか「……」

まどか(…もしマミさんが生きていたら、さやかちゃんも…)

杏子「まあ、その時はバカみたいに意気込んでいたよ。あたしは正義の魔法少女なんだって」

杏子「いくら親父の説法が正しくったって、それで魔女が退治できるわけじゃない。だからそこはアタシの出番だって」

杏子「あたしと親父で、表と裏からこの世界を救うんだって」

杏子「…でもね、ある時カラクリが親父にバレた」

さやか「えっ?」

杏子「夜遅くに魔女退治に出歩くあたしを心配した親父に、あたしの正体がバレたんだんだ」

杏子「大勢の信者が、信仰のためじゃなく、魔法の力で集まってきたんだと知った時…親父はブチ切れたよ」

杏子「娘のあたしを、人の心を惑わす魔女だって罵った。笑っちゃうよね。あたしは毎晩、本物の魔女と戦い続けてたってのに」

杏子「それで親父は壊れちまった」

杏子「最後は惨めだったよ。酒に溺れて、頭がイカれて、とうとう家族を道連れに無理心中さ」

杏子「みんな死んじまった。あたし一人を置き去りにしてね。あたしだけ死ねなかった。魔法少女だからね。死ぬような傷でも治りやがる」

杏子「あたしの祈りが、家族を壊しちまったんだ」

さやか「………」

まどか「……ひどい……」

杏子「あたしが他人の都合を知りもせず、勝手な願いごとをしたせいで、結局誰もが不幸になった」

杏子「その時心に誓ったんだよ。もう二度と他人のために魔法を使ったりしない。この力は、全て自分のためだけに使い切るって」

杏子「奇跡ってのはタダじゃないんだ。希望を祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる」

杏子「そうやって差し引きをゼロにして、世の中のバランスは成り立ってるんだよ」

さやか「…何でそんな話をあたしに?」

杏子「あたしの教訓を話したかったんだよ。願いが報われるとは限らない。願いの結果がいいことになるとは限らない」

杏子「それどころか、願いが裏目に出ることもある。自分の大切な人たちに、最悪な結果を押し付けることもある」

杏子「だからあたしはもう他人のために魔法は使わない。この力はあたしのためだけに使う」

杏子「自分のためだけに生きてれば、何もかも自分のせいだ。誰を恨むこともないし、後悔なんてあるわけがない」

杏子「そう思えば大抵のことは背負えるもんさ。何もかも自業自得の人生さ」

さやか「…それって変じゃない?あんたは自分のことだけ考えて生きてるはずなのに、何であたしの心配なんかしてくれるわけ?」

杏子「あんたもあたしと同じような願いをした。他人のために願っちまった」

さやか「恭介は他人なんかじゃない、あたしの大事な幼馴染で」

杏子「あたしの願いの先は実の父親だったよ」

さやか「じゃあ他人じゃないでしょ!」

杏子「自分以外の人間のことを他人って言うんだよ。どんなにそいつの近くにいるつもりでも、そいつの立場や悩みを完全にわかることなんてできやしねぇ。何故ならそいつと自分は別人だからだ」

杏子「それに気付かないまま、勘違いして願いを押し付けるのさ。あくまで『そいつのため』のつもりでね」

さやか「でも恭介は喜んでた。あたしの願いは間違ってなんかない!」

杏子「それは、あんたがまだ恵まれてるからそう言えるんじゃないのかい?」


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