過去ログ - まどか「あの程度で『殺し合い』ねぇ……」
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[saga]
2012/07/28(土) 07:33:32.91 ID:Bf6Tz+ic0
ほむら(…そうやって弱みに付け込むのがあいつの手口)
杏子「…翌朝、親父の教会は押しかける人でごった返していた。それから毎日おっかなくなるほどの勢いで信者は増えていった」
杏子「あたしはあたしで、晴れて魔法少女の仲間入りさ。マミに弟子入りして、色々と修行したよ」
さやか「マミさんの?」
杏子「ああ、あたしはマミの一番弟子だったんだ。…まあ結局、最期まであたし以外の弟子は取らなかったみたいだけどね」
さやか「……」
まどか(…もしマミさんが生きていたら、さやかちゃんも…)
杏子「まあ、その時はバカみたいに意気込んでいたよ。あたしは正義の魔法少女なんだって」
杏子「いくら親父の説法が正しくったって、それで魔女が退治できるわけじゃない。だからそこはアタシの出番だって」
杏子「あたしと親父で、表と裏からこの世界を救うんだって」
杏子「…でもね、ある時カラクリが親父にバレた」
さやか「えっ?」
杏子「夜遅くに魔女退治に出歩くあたしを心配した親父に、あたしの正体がバレたんだんだ」
杏子「大勢の信者が、信仰のためじゃなく、魔法の力で集まってきたんだと知った時…親父はブチ切れたよ」
杏子「娘のあたしを、人の心を惑わす魔女だって罵った。笑っちゃうよね。あたしは毎晩、本物の魔女と戦い続けてたってのに」
杏子「それで親父は壊れちまった」
杏子「最後は惨めだったよ。酒に溺れて、頭がイカれて、とうとう家族を道連れに無理心中さ」
杏子「みんな死んじまった。あたし一人を置き去りにしてね。あたしだけ死ねなかった。魔法少女だからね。死ぬような傷でも治りやがる」
杏子「あたしの祈りが、家族を壊しちまったんだ」
さやか「………」
まどか「……ひどい……」
杏子「あたしが他人の都合を知りもせず、勝手な願いごとをしたせいで、結局誰もが不幸になった」
杏子「その時心に誓ったんだよ。もう二度と他人のために魔法を使ったりしない。この力は、全て自分のためだけに使い切るって」
杏子「奇跡ってのはタダじゃないんだ。希望を祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる」
杏子「そうやって差し引きをゼロにして、世の中のバランスは成り立ってるんだよ」
さやか「…何でそんな話をあたしに?」
杏子「あたしの教訓を話したかったんだよ。願いが報われるとは限らない。願いの結果がいいことになるとは限らない」
杏子「それどころか、願いが裏目に出ることもある。自分の大切な人たちに、最悪な結果を押し付けることもある」
杏子「だからあたしはもう他人のために魔法は使わない。この力はあたしのためだけに使う」
杏子「自分のためだけに生きてれば、何もかも自分のせいだ。誰を恨むこともないし、後悔なんてあるわけがない」
杏子「そう思えば大抵のことは背負えるもんさ。何もかも自業自得の人生さ」
さやか「…それって変じゃない?あんたは自分のことだけ考えて生きてるはずなのに、何であたしの心配なんかしてくれるわけ?」
杏子「あんたもあたしと同じような願いをした。他人のために願っちまった」
さやか「恭介は他人なんかじゃない、あたしの大事な幼馴染で」
杏子「あたしの願いの先は実の父親だったよ」
さやか「じゃあ他人じゃないでしょ!」
杏子「自分以外の人間のことを他人って言うんだよ。どんなにそいつの近くにいるつもりでも、そいつの立場や悩みを完全にわかることなんてできやしねぇ。何故ならそいつと自分は別人だからだ」
杏子「それに気付かないまま、勘違いして願いを押し付けるのさ。あくまで『そいつのため』のつもりでね」
さやか「でも恭介は喜んでた。あたしの願いは間違ってなんかない!」
杏子「それは、あんたがまだ恵まれてるからそう言えるんじゃないのかい?」
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