8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 16:59:48.15 ID:D+xZ8dty0
「ごちそうさまでした!」
「お粗末さまでした」
「……ごちそうさまでした」
結局の所、食事の間に美国織莉子が言った「話したい事」というのは一度たりとも出てこなかった。
ゆっくりと時間をかけて食べたものだから、残りの時間は20分といった所。あと10分もすれば、次の授業の用意をしなくてはならなくなる。
「ちょっと時間をかけすぎてしまったわね……」
「……そうね」
「まぁ、そう焦る事でもないだろう?まだ放課後という有意義な時間が私たちには残っているんだからね!私としては第三者とぺちゃくちゃするよりかは、織莉子と一緒に過ごす方がよほど素晴らしいんだけれどね!」
とかく勝手な事を言う娘だと思う。
マミには、放課後にはとても大事な仕事が控えているというのに。
「……私たちの方で時間を潰して置いて勝手なことだと思われるだろうけれど、取り敢えず要件だけを掻い摘んで説明させていただくわね」
「……ええ、お願いするわ」
「先ず、私たちは――まぁ、気が付いているでしょうけれど、魔法少女なの、貴女と同じく」
織莉子は胸元から、キリカは肩掛けのポーチから、それぞれのソウルジェムを取り出してみせた。真珠を思わせる純白と、明け方の空を思わせる濃い青紫だった。
それ自体は驚くべきことではない。彼女のあんまりと言えばあんまりな完璧ぶりは、つまりそういう事だったのだとむしろ巴マミは合点がいった。
授業で超人的能力を発揮した際に魔翌力を使った形跡がないのは、マミとしては腑に落ちない所だったが。
「それで、私とキリカには、契約した時にちょっとした能力が備わった。……悪いのだけれど、それを今明かす事はできないわ。少なくとも、貴女と協力関係を結べるまでは、ね」
それは、そうだろう。万が一にも敵対関係になるかもしれない相手に、率先して自分の能力を明かす魔法少女はそうはいない。
「その能力を用いた結果、私はあるビジョンを視た。それは、強大な――そう、あまりにも強大な魔女の襲来、この見滝原を完全に滅ぼして、なお余りある力を持っているほどの。私たちはその魔女に関する知識を持っていないから、それがいったいどう言った名で呼ばれているのかは知らない。けれど、少なくともここにいる若葉マークの魔法少女二人では、あまりにも荷が勝ちすぎる相手だというのだけは分かった。実力的に、私たちでは到底敵う存在ではない」
「そこで、この辺りで活動している私と協力して、その魔女を倒したい、と」
「そう。もっとも、見滝原は元から貴女のテリトリー。協力、と言うよりは傘下に入る、と言った方が正しいかしら」
そんな暴力団かなにかのような形式をとるつもりなど、巴マミは毛頭ない。仲間になる、というのなら大歓迎だが……。
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