83: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/07/17(火) 04:05:17.30 ID:yIkrPX16o
「いけない、いけない、いけない!いけないんだよ、キミ"が"そんなことをしちゃあ!」
と、唐突に少女が叫びだす。中性的に甲高い声が路地に響いた。
あからさまに咎めるような口調だ。やはりこの頭がおかしいとしか思えない少女といえど、殺人行為は容認しがたいものであるようだ。
そして、魔法少女。彼女は自分からそう言った。であるとすれば、やはりこの子は口封じするべき相手なのだろうか。
織莉子が視線を鋭くして少女を睨みつけると、
「だから、これからはこんな汚れ仕事は私に任せて欲しい」
呉キリカは跪いて言った。
二の句が継げないでいる織莉子に、跪いたままキリカは続ける。
「さっきも言ったように、私はキミに仕える者だ。キミは私の主なんだよ、美しいひと。
その、美しいキミが、こんなことをしちゃいけないんだ。こんな仕事は、従者の私に押し付ければいいんだ。
キミには美しく、白い薔薇のように咲き誇っていてもらいたいんだ」
何を言っている。
急に現れて、抱擁をかまし、殺人の罪を許容するどころか自分にまかせてもらいたいと言う。
思惑が、まるで分からない。
呉キリカは言う。
「この場は任せてくれ。なに、適当な魔女結界に放り込んでしまえば死骸は上がらないさ。
グリーフ・シードのストックが必要だというなら、ほら、これを」
新品同様のタネを差し出した。
織莉子は黙ってそれを受け取る。
「まだ、キミがどんな思惑でこんなことをしたのか、私には分からない。
けれど、なに、そんなのは些細なことだ。
キミのしたことだ、"間違いなんてありっこない"だろうし」
複雑な面持ちで織莉子はその声を聞く。
「お屋敷で待っていてくれないか。
なに、すぐ済むさ、こんなモノの処理くらい、ね」
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