過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/02(水) 19:24:44.58 ID:l/93gnlro

「そうなのかもしれない。マスター、俺はたぶん寂しいんだと思う。
 誰も俺のことなんて気に掛けなくて、誰も俺に優しくなんてしなくて、誰も俺を必要としてない。
 それが心細くてたまらないんだ。そんなふうに出来た世界が怖くてたまらないんだ。
 必要とされたいのかもしれない。……でも、そんなのよりずっと、もう諦めた方が楽なんだ。
 積極的に行動するほどの気力なんて、残ってない。
 俺の魂はさ、生きながらにして死んでるんだ。とっくに。去年の夏あたりに」

 マスターは微笑を崩さずに、俺の表情を観察するように見つめたあと、視線をカウンターに落とした。

「君のような人間には、ときどき、分からなくなってしまうかもしれないけど……。
 世の中にはいろんな人がいるよ。誰も彼もがみんな君に似ているわけじゃない。
 でもね、それでも君と似ている人はやっぱりいるものなんだな。
 きっと君のような不安を抱えている人はたくさんいる。それも君よりもずっと大きな問題かもしれない」

 でもね、と彼は続けた。

「だからといって、君の悲しみが誰かのものになるわけじゃない。
 誰かと比較して自分の苦しみが小さいからって、別に後ろめたく思わなくてもいいよ」

「そういう風に見える?」

「僕の思い違いかもしれないけど」

 いつからこんなふうになったんだろう。
 あの夏の日を、もう二度と取り返せないのか?
 



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