過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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305:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/10(木) 14:43:03.14 ID:T5BAMud9o

 結局、ここ数日の俺は振り回されてばかりだった。
 なにひとつ突き止めることはできなかったし、なにひとつ取り戻すこともできなかった。

 俺は何もしていないのと同じだった。何かを得ようとしてあの鏡を調べようとしたのに、何も得られなかった。
 無数の傷を受けただけ。あるいは……無数の傷を思い出しただけと言うべきなのか。

 俺はまた逃げ出したのだ。そう思う。なぜかは分からないけれどそう感じる。

 ティアがかすかに溜め息をついて、俺に言った。

「これでよかったのよ。あなたにはこうすることもできた。そういう選択肢があったのよ、最初から」

 そうだ。別に俺が逃げたところで誰かが困るわけではない。俺はもともと必要とされていない人間なのだ。
 逃げずにいるのはあまりに苦痛だし、あまりに耐えがたい。何もかも忘れて退屈に溺れた方が、よっぽどマシだ。

 喉の渇きはいくら歩いたところで満たされるわけがないのだから、熱砂に沈み、干からびるのを待つ方がよほど理性的だ。

 俺は起き上がって学校に行くことにした。魔法使いが俺を止めようとしたが、体に問題はなかった。怪我は痛んだが、少し、だ。
 呆れ顔の三人を置いて、俺とティアは事務所を出る。脇腹がじくじくと痛んだし、首筋が火傷のように疼いた。
 



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