過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:19:42.88 ID:JGE6sUjjo

「アンタ、何してる人?」

「"アンタ"はないだろ、坊主。敬意をこめて"おじさん"と呼べ」

以下略



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:20:27.07 ID:JGE6sUjjo

「というか、まあ、金はもっとあったんだけどな。なくなっちまった。全部」

「どうして?」

以下略



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:21:50.08 ID:JGE6sUjjo




 俺は恵まれた人間だ。本当にそう思う。
以下略



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:23:01.79 ID:JGE6sUjjo

 何かの本で読んだ。人間が人間らしく生きていくには、"欲望"が必要なのだ。
 欲しいものが何ひとつない人間は生きていけない。生きていく理由がないからだ。目的がないからだ。
 
「理由なんかなくても」「目標なんかなくても」と言う人もいるが、この言葉はあまり役に立たない。
以下略



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:23:37.45 ID:JGE6sUjjo

 二年か三年、そうやって過ごした。すると不思議な顛倒が起こる。
「何も欲しがらない」という満たされているはずの状態に、奇妙な空虚感がつきまとうようになったのだ。
 まるで自分自身に「何もない」ような気がした。好きなものも嫌いなものも。

以下略



48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:24:32.30 ID:JGE6sUjjo




 準備を終えて家を出る。通い慣れた道を通り、学校へと向かった。
以下略



49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:25:08.54 ID:JGE6sUjjo

 俺は屋上に寝転がった。鈍色のフェンスに区切られた空間。
 隔絶され、孤立した空間。そこには言いようのない安らぎがある。
 外に出て仰向けに寝転がってみると、太陽は意外なほど暖かかった。
 
以下略



50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:25:41.99 ID:JGE6sUjjo




 目をさますと、俺は案の定、学校の屋上に寝転がっていた。どうやら眠っていたらしい。
以下略



51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:26:17.86 ID:JGE6sUjjo

 気だるさに溜め息をつくと、すぐ傍から声が聞こえた。

「起きた?」

以下略



52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:27:05.54 ID:JGE6sUjjo

 少し考えて、思う。"何年も話していない"? そうだっただろうか。
 俺が彼女と最後に話したのはいつのことだっけ? 何年も前だっただろうか?
 そうだという気もするし、つい昨日、話をしたようにも思える。

以下略



53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:27:34.73 ID:JGE6sUjjo

 彼女は特に感情もこもっていないような溜め息をつき、それからくすりと笑って言った。

「こういうところ、好きなの?」

以下略



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