4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]
2012/04/29(日) 13:19:34.50 ID:NtxCfnkio
  
  
 そうして解散した後、たまたま私は忘れ物に気がついた。 
 本当にたまたま。偶然だ。 
 意図的に忘れ物なんてする理由がないし、実際その忘れ物は私がうっかり置き忘れてきただけのものだった。 
  
  
 それでも、踵を返したその先で、 
  
  
 澪「……唯?」 
  
 唯「え……? あっ……」 
  
  
 自室で一人、しゃがみこんで涙を流す、その姿を見てしまったら。 
  
  
 唯「ち、ちがっ、あの、みおちゃん、これは……」 
  
  
 ……私が戻ってきたのは、必然だったんじゃないか、とか。運命だったんじゃないか、とか。そんなことをうっすらと思ってしまうわけで。 
 厳密には私でなくてもよかったのかもしれないけど、それでも唯には誰かが必要だったんじゃないか、とは思うわけで。 
 つまるところ、口を開かずにはいられなかった。 
  
 澪「……何か、あった?」 
  
 唯「っ………」 
  
 澪「唯……」 
  
 唯「………」 
  
 放っておけない。それだけは確かだった。 
 歳を重ねて減ってきたものの、唯が泣くこと自体は珍しいことじゃない。自分の感情に素直に生きる唯には。 
 でも、こうして誰もいない部屋で、自分以外の誰にもわからない涙を流す唯は珍しいはずだ。 
 独りきりで感情を溢れさせる唯を目にして、放っておけるはずがなかった。 
  
 澪「大丈夫だよ、唯」ギュッ 
  
 唯「あ…!」 
  
 澪「……何があったのかはわからない。唯がなんで泣いてるのか、私には予想もつかない。もしかしたら私のせいかもしれない。……でも、大丈夫」 
  
 唯「……みお、ちゃん……」 
  
 澪「大丈夫だから」 
  
 何が、なんて言葉にする必要はないと思った。 
 私はこうして唯を抱きしめることが出来る。それだけ伝われば大丈夫だと思った。 
 ……なかなか恥ずかしい行動だけど、そんなことを日頃躊躇なくやってる唯相手になら、私だって出来る。 
  
26Res/29.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。