316: ◆IsBQ15PVtg[saga]
2013/02/04(月) 04:25:32.23 ID:qFLkEode0
黒崎「…………」
それ以上――何も言えなかった。
これほどの怪我を負いながらも、この小部屋まで歩いて来るどころか、命を落とす間際までこの空間に誰も入って来れないようにするなんて、相当な精神力があったのかと思う。
文句を言いたくなるのを一瞬にして抑え込み、黒崎を黙らせたままにしてしまう要素があった。
初春「……一体……この人に何があったっていうのですか?」
時間が経過するに従って、わずかに落ち着きを取り戻したのか。
なおも怯えの色を露にして、黒崎の背後から覗き込みながら、恐る恐る訊く。
黒崎「よくは分かんないけど……何かに追われてたっぽいな」
なおも、顔を顰めながら、目の前の犠牲者をじっと眺めている。
こいつがあまりにも普通じゃない状況に置かれていたのは分かった。
かっと見開かれて充血しきった目が、死してもなお、引き戸のほうへと向けられていた。
黒崎(おいおい、これって……)
嫌な――予感がした。
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