243:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2012/07/08(日) 21:22:07.24 ID:n9gQtJ6k0
はっとした。
「あら、お侍様は……」
という声が飛んでいたような気がするのだが、実のところは分からない。
真之丞はそんな状態だった。
何か口に出したような気もする。
あるいは、話そうとしただけかもしれない。
「おお、先程の」
これは千早太の口から出たものだ。
「あ、お知り合い?」
「真、話すのだ。
この娘と我らの出会いを」
「出会ったのは、私だ」
やっと声が出せた。
「ふふ、これがご縁でしょうか」
「ちょっと、あた……いけねェ、私には何のことか。
説明してくださるかしら」
りつこが口を尖らせて言った。
「先頃、お二人に辻で危うくぶつかりそうになってしまったのです」
「某は違うぞ、この男だ」
千早太が水を向けてくる。
「はい、そうでした。
あの、お名前を」
「菊地真之丞」
少し早口が過ぎたかもしれない。
「そして、某が如月千早太である」
大層な様子で答えていた。
「お前の名前は訊いていない」
「いや訊かれた」
というやりとりを横に、女二人も話をしている。
「とりあえず、刀を見てもらいましょうか」
「菊地様と、如月様ですね」
「ちょっと。
早く貸しなさいよ」
まだ話を続けようとするひびきから、刀をふんだくって、りつこは言った。
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