252:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2012/07/08(日) 21:53:30.60 ID:rk+SvYZs0
八
「おい、この話、聞いたかい?」
「どの話だい」
「天海屋って呉服の店の前にな、
ふん縛った悪人ども五人に案内されて妙齢の美人と幼い娘が来たってんだよ」
「はやらなそうなおとぎ話だな」
「それがよ、えらくはやってんだ。
続きがあって、その悪人は全員その足で奉行所まで行ったってんだからよお」
町人二人の会話である。
「ねえ、その妙齢の美人の髪は黒みがかった蒼とか?」
それを聞きつけたあみが訊く。
「おう、あみちゃんその通りよ」
「へえ、ありがとう。
面白いね」
盆を胸にあて笑った。
「だってさ、真之丞様」
からかうように、まみが言う。
この二人とは以前より親しくなった。
それは良いのだが、侍としての威厳が少しだけ薄れた気がしないでもない。
「絶対、あずさ様よねー」
「うん、絶対そうだよねー」
双子が声を揃えて言い、けらけらと軽く笑った。
「江戸一番の強者と知らずに挑んだ悪漢たちも、これは災難」
千早太まで茶化してきた。
が、そんな軽口も気にはならない。
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