254:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2012/07/08(日) 22:03:39.41 ID:rk+SvYZs0
「それでは、行きましょう」
「お願いします」
わずかに赤くなった顔を俯かせながら答える様に少し心が揺れた。
ここからであれば、家はすぐ近くだ。
ぼうっとしていれば話す暇もなくなってしまう。
真之丞は一生懸命に考えていた。
「私は、真之丞様にご縁がございましたようで……」
大胆な告白に驚き、返答するまで時間があいた。
「実は私も、出会った時にそう思っていた。
美しい女子であると。
そして、話していると分かった、
ひびき殿の心はきっと澄んでいると。
……どうだろう、妻として、菊地家にきてはもらえまいか?」
「はい、きっと私は、その方が幸せになれるとおもうのですが……」
「しかし、なんだ?」
一世一代の台詞を口にした真之丞だったが、素直な疑問がすぐ口に出る。
「今夜、あなたの床にて」
つやつやとした目をこちらに向けて言って、
それきり、ひびきは黙ってしまった。
暦では、冬ももう遠くはないというのに、その気配は全く近くなってはこない。
それは二人の為なのか、
それとも単に準備が遅れただけなのか、
それは考えても仕方のないことであった。
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