273:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga]
2012/07/15(日) 20:39:59.19 ID:StkKHyuC0
「もちろんです。
ひびき殿にまだお返事をいただいていませんのですが、
まずは四条院家に参ります」
母子が瞳で意志を交わらせるのを見て、
やよいは、この二人が強い訳を知ったような気がした。
「たのもーお」
間延びした、しかし良く通る声が門の方からする。
「千早太だ」
「やよい、案内を」
「はい」
駆けていくやよいの背を見ながら、母と話す。
「ひびき殿を妻にしたいのです。
それを昨日、言いました」
「ですが、あの娘はあなたの命を狙っています」
「今はもう、それはないでしょう。
だとしたら私はすでに死んでいます」
「……あの子は、自分で傷付けたお前を、自分で手当てしていましたよ。
私が様子を見た時は、泣きながら止血を」
「息子の危機かもしれないのに、助けてはくれなかったのですね」
笑いながら、真之丞は言う。
「殺気が感じられなかったので、放っておきました」
穏やかに話す母には、何か他の答えがありそうであったが、
それに触れるのはやめておいた。
338Res/186.16 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。