過去ログ - 律「うぉっちめん!」
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60:律「うぉっちめん!」[sage saga]
2012/05/28(月) 15:02:04.85 ID:yc3eS1Xy0
 
唯『純ちゃんも、私が抜けた後の放課後ティータイムや澪ちゃんの事はすごく褒めてるのに……
  どうして私だけ……』

律『お、お〜い。唯〜?』

唯『やっぱり私はただのタレント、ううん、コメディアンなのかな…… 放課後ティータイムが
  人気だったのも澪ちゃんとムギちゃんのおかげで、私はいてもいなくても良かったのかな……』

律『なあ、唯……』

ガチャッ ツーツーツー

律『唯? もしもし? ……何だよ、もう』



午後1時まで、あと9分11秒。
律は、鈴木純の仕事場の前に来ていた。
先日、一度訪ねたきりではあったが、唯との思い出を回想していても自動的にたどり着ける程に
足が道順を憶えていた。
約束の時間には少し早いが、律は遠慮もノックも無く、仕事場のドアを開いた。

律「よう。来たぞ、鈴木。一体、何の――」

思わず言葉を飲み込んだ。
ドアノブを握る手に力がこもる。
しかし、その力とは裏腹に、出来る限り物音を立てずに部屋から身体を引っ込め、静かに
ドアを閉めた。
すぐに手持ちのティッシュペーパーで、ドアノブを素早く、かつ入念に拭く。
ノブを拭き終わったティッシュペーパーをポケットに捻じ込むと、律は足早にその場から離れた。
大丈夫。監視カメラは設置されていなかったし、この様子を見ている者もいなかった。大丈夫だ。
そう自分に言い聞かせるも、驚きと、焦りと、苛立ちと、腹立たしさが、足取りと心臓の鼓動を
どんどん速めていく。
律は心中であらん限りの悪態を吐きながら、最寄駅への道を急ぎ足で引き返した。



『日誌 田井中律、記 2022年10月17日13時31分
 くそっ。くそくそくそくそっ。何てこった。どうなってるんだ。
 ツーストライクだ。冗談じゃないぞ。
 鈴木が死んでいた。首を吊っていた。ちくしょう。ブラ下がっていやがった。
 一体、どういう事だ。奴の方から私を呼び出したってのに。話したい事があると言ってたのに。
 ブルった様子で私に助けを求めてるようだった。
 何故そんな奴が自殺するんだ。午後には私が行くと言ってたのに。
 話が噛み合わないぞ。くそったれ。
 誰にも見られていないだろうな。おそらく、たぶん、誰にも見られていない筈だ。
 監視カメラだって無かった。本当か?
 くそっ、頭が混乱している。落ち着け。意識を集中しなければ』



律の携帯電話が本日三度目の着信を知らせたのは、彼女が朝の時点で座っていた公園のベンチに
腰を落ち着けた、まさにその瞬間だった。
律は発作的に携帯電話を地面へ叩きつけたい衝動に駆られるも、すぐに我に返り、画面表示を
確認した。
そこにあったのは“中野梓”。
通話状態にした携帯電話から聞こえてきたのは、ひどく慌てた梓の声だった。

梓『律先輩! 聞きましたか!? 唯先輩を殺した犯人が逮捕されたって!』

律「ああ、聞いたよ。ムギの秘書から連絡があった」

梓『そうでしたか。でも、本当に良かったです。こんなに早く犯人が捕まって。これで律先輩も
  犯人探しなんてしなくてもよくなりましたし……』

律「……違う。ムギを襲った奴は犯人じゃない。真犯人が別にいるんだ。絶対に」

梓『何を言ってるんですか。もう事件は解決しているんですよ。気持ちはわかりますけど、
  もう――』

律「なあ、梓」

梓『何ですか?』

律「鈴木純が死んだ」

梓『……は?』

律「鈴木純が自殺したんだ。自分の仕事場で首を吊って」


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