4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/23(水) 23:09:09.58 ID:ekos52i6o
「先輩、具合はどう?」
それは落ち着いた声だった。
僕は急に我に帰り、自分のくたびれたスウェット姿とか乱れたベッドで上半身だけ起こしている自分の姿を彼女がどう思うか気になりだした。
「うん。明日からは学校に行けると思う。心配させて悪かったね」
僕は小さな声で妹に答えた。妹は僕の具合なんか気にしていなかっただろうけど、それでもやはり心配はしていたはずだった。それは僕が実行を約束した作戦がどうなっているのかという心配だったと思うけど。
「突然休んじゃってごめん。一応、メールはしたんだけど」
そのメールに対して妹は返事をくれなかったのだ。でも僕はそのことを非難しているような感情をなるべく抑えて淡々と話すよう心がけた。
「病気なんだから仕方ないじゃない。先輩が謝ることなんかないのに」
妹はそう言って改めて僕の部屋を眺めた。
「あ、悪い。そのカウチにでも座って」
妹を立たせたままにしていることに気がついた僕は、妹に少し離れた場所にある椅子を勧めた。
「うん」
妹はそう言って、どういうわけかベッドから離れたところに置いてあるカウチを苦労して引き摺って、ベッドの側に移動させてからそこに腰かけた。カウチの位置がベッドの横に置かれたせいで僕の顔のすぐ側に妹の顔があった。
「本当にもう大丈夫なの?」
妹は僕の額に小さな手のひらを当てた。その時僕は硬直して何も喋ることができなかったけど、胸の鼓動だけはいつもより早く大きくなズムを刻み出したので、僕は額に当てられた彼女の手に僕の鼓動が伝わってしまうのではないかと心配した。
「熱はもうないみたい。先輩のお母様の言うとおりもう風邪がうつる心配はないね」
妹はそう言った。
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