197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:31:55.27 ID:QvK0WMpCo
どうして、と俺は「みー」に訊ねた。彼女はどうして平気そうにしているのだろう?
彼女は、それまで俺と話さなかったのが嘘だったように、すらすらと言葉を並べ始めた。
198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:32:21.65 ID:QvK0WMpCo
「だいいち、わたしが最初から、真正面から彼に話しかけてみればよかったわけで、面倒な手を選んだりしたから――」
違う、と俺はまた否定したくなる。この結果は彼女の行動が原因じゃない。
彼女とは無関係の場所で起こったことだ。彼女の行動はなにかの原因になったりしなかった。影響を与えたりしなかった。
199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:32:47.71 ID:QvK0WMpCo
俺が何も言えずにいると、彼女は言葉を重ねた。
「いいんです、本当に。機会をもらっても、上手く活かせなかったと思うから。自分でも何がしたかったのか分からない」
200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:33:14.35 ID:QvK0WMpCo
何にこんなにイライラしているんだろう、と考えて、すぐに思い当る。
それは身勝手な感情だ。俺は怒っている。
彼女は安堵しているのだ。おそらく、タカヤに対して正面からぶつかっていかないで済むことに。
201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:33:41.73 ID:QvK0WMpCo
廊下をひとりで歩いていて、俺はようやく気付いた。
俺はけっしてこの事態に「たまたま」巻き込まれたわけじゃない。
幼馴染が「付き合っているふりをしてくれ」と言ったとき、俺は自分の意思で頷いたのだ。
202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:34:08.29 ID:QvK0WMpCo
教室に戻るとタカヤが席についていた。
彼はモスと一緒に何かを話している。俺は気分が優れないまま近付いた。
「どうした?」
203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:34:34.22 ID:QvK0WMpCo
「なんで今日だったんだよ」
と俺は訊ねた。
204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:35:00.44 ID:QvK0WMpCo
彼は思いついたような表情で、俺に向かって訊ねた。
「そういや、お前は? どうやって彼女に告白したんだ?」
205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:35:29.74 ID:QvK0WMpCo
俺の言葉に、タカヤの表情は硬くなった。やがて状況を判断しようとするように、視線をあちこちに彷徨わせた。
「それは、どうして?」
206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:36:08.98 ID:QvK0WMpCo
「そうか、そうだったんだ……」
彼は吐息のように言葉を吐いた。モスが気まずげな表情になる。
居心地が悪い。逃げ出したかった。
207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/06/02(土) 13:36:44.82 ID:QvK0WMpCo
眠りから覚めて、眠っていたことに気付いた。カーテンは開けっ放しで、灯りはついていない。
陽はすっかり沈んで、もう辺りは真っ暗だ。俺は起き上がる気になれず瞼を閉じた。
いつからこんなに不調だったんだろう? 鼻はぐずぐずいって気持ち悪い。
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