858:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/05(木) 17:08:57.48 ID:5zJPOgVlo
家の扉には鍵がかかっていた。持ち歩いていた鍵をつかって扉を開ける。
玄関に妹の靴はない。出かけているのだと俺は思った。
リビングのテーブルの上に書置きがある。
友達と会う。遅くなるかもしれない。そのようなことが書かれている。
俺はカレンダーを見て今日の日付を確認してから、ああ、イブだったのかと思った。
それから冷蔵庫をあけて飲み物を探した。でも、何もなかった。
仕方ないので水を飲むことにする。いまの俺には相応だろう。この程度のものが。
俺はいまひとりぼっちだった。誰も傍にはいない。それもやはり相応だ。
どうせゴミのように生きてゴミのように死ぬしかない。
知らないふりをして、なんともないふりをして、普通のふりをして、まともなふりをして、過ごすことはもうできない。
俺は妹に何も言えない。彼女のことを考えるなら何も言うべきじゃない。
俺の気持ちは彼女を不幸にしかしない。少なくともそう思える。
たしかに義理だが、それがいったい何の慰めになるというのだ。モスの言葉は気休めにしかならない。
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