過去ログ - 勇者「淫魔の国の王になったわけだが」
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16: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/05/29(火) 01:17:09.00 ID:MraeMU1Uo
完全に閉め切られた空間に、淫魔と、魔物が取り残される。
罠にかかった鳥のように、彼女は何度も逃れようと手足をばたつかせる。
しかし、それは足掻きにもならない。
小さく力の弱い彼女では、からみ付く無数の触手から逃れる事などできない。

手首を、太腿を、華奢な腰を、細い首を、大小合わせて数十の触手が拘束する。
粘っこく不気味に暖かい潤滑液が、彼女の全身をぬめぬめと穢していく。
衣服からじんわりと浸透し、ぬるま湯に浸かっているような感覚が広がる。

幼淫魔C「…や、だぁ……気持ち、わるいよぉ……!」

不平をこぼした口に、粘液がわずかに忍び込む。
量にしてほんの数滴にも満たないそれは、口内に異様なほどの生臭さを充満させる。
息をするのも苦痛となり、鼻を抜けるそれは幾度も吐き気を催させる。

幼淫魔C「いやっ!臭い………!うぶぅっ……」

咄嗟に吐き出そうと試みるも、瞬間、更に多くの粘液が滑り込んでくる。
耐えがたい悪臭と不快感、そして「恐怖」は、永劫の如く彼女を責め苛む。

その悪臭が逆に気つけとなってパニックをやや落ち着かせた彼女は、現状を把握しようと試みる。
肉体に、苦痛は感じない。
全身を隈なく縛められながらも、痛みは無い。
むしろ、彼女に不要な痛みを与えないように、この触手の主が慮っているようにも思えた。

幼淫魔C「ローパー……?」

本体は見えない。
しかし、他に思い当たるものも、当てはまるものもない。

――――――――

無数の触手を蠢かす魔物、ローパー。
硬質化させた触手を用いて甲冑をも貫き、鞭のように薙ぎ払い、その戦闘力も侮れたものではない。
人界に存在するローパーには、その生殖方法において二つの種類が存在する。
「産卵型」と、「受精型」だ。
前者は捕らえた他種族の体内に産卵を行い、同時に獲物を麻痺させて苗床へと作り変える。
そして後者は、他種族、人間をはじめとした種族の体内に精を放ち、種を植え付け、受精させる。
その為に、排卵を促す成分を注入するための針のような器官を通常備えている。



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