過去ログ - 死にすぎ仕上 と 虹の理后
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341:最終章 王女編「気高き乙女達」 ◆a6qh.01v1w[saga !桜_res]
2012/06/09(土) 01:19:33.96 ID:mcLgH+pT0
 

 絹旗は姫に寄り添うようにその肩に座り込みました。

 姫の腕には削板から預かったままの腕輪がはまっています。

 姫は鮮やかなターコイズを見つめて呟きました。

「トロルさんは、本来は優しい種族って聞いてるのに…」

「確かに、魔王の番兵なんかやってるのは超変ですよ」

「里を滅ぼしたのは、姫の父だと教えてやっただけだ」

「そんな! 嘘、お父様はそんな事しない!!」

「まこと、姫の言葉は真実に溢れているな」

 魔王は、くくく、と嫌な笑い声をたてました。

「ふふふ、一族を滅ぼしたのが予と気づかずに…。

 間抜けも、間抜けである故に役立つ事もある」

「くっそーっ! トロルの里も、あなたがっ!!」

「そんな…ひどい」姫はターコイズを付けた腕を抱えました。



 哀しみに俯いた姫の頭上で、繊細な緑玉の冠が揺れました。

「あの火竜も結局は予のために、宝玉を大事に守ってくれていた…。

 という事よ」魔王は、緑の息を吐き出しました。

「あれも強情な奴。親族を殺されても宝玉を渡さず。

 あまつさえ、石になどなりおって」魔王は、更に深く緑の息を吐き出しました。

「姫、もう分かったでしょ…神樹様の超いう通りですよ。

 魔王は滅びしか呼ばないんです」



 堪えるようにきゅ、と握られた姫の右手には深紅の宝玉が煌きます。

「夢魔も死んだ…ようだな。使える女だったがな」

「え?! わたしの魔法じゃ、生き物は超殺せないんですよ!」

「人間に殺されるようでは、所詮その程度…という事よ」

「そんな…仲間を道具みたいに…」

「まさか…お母様やむぎのさんの一族もあなたが…」

「え?! 魔王がサキュバスも超滅ぼしたってことですか?」

「…そうだったら。

 どうだというのだ、サキュバスの娘よ」魔王は、緑の息を吐きました。

「許せない…お父様、わたし許す事ができないよ」

 絹旗は、姫が怒った顔をはじめて見ました。


 



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