過去ログ - 伊織「だって、あんたが好きだから」
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77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2012/06/10(日) 15:10:49.62 ID:kbSnN6gzo
のんびり散歩しているおじいさんや小さな子供を連れたお母さんとか。

仕事に出かけるためにスーツ姿で新聞を小脇に抱えている人とか。

人通りは多いけど、東京みたいに急いでいる人はほとんどいない。

朝なのに急いでいる様子はなくて、時間の流れが遅くなったのでは、と錯覚するほどだ。

私にはこの街があっているといつも実感する。

キッチンに戻る。

沸騰しきる前にガスを止めて、火を消した。

お湯を沸かしていたのは紅茶を入れるためだ。

紅茶を入れるのに適している温度は98度。

沸騰しきってないお湯のほうが美味しく入れられる。

そのほうが抽出しやすくなるからだ。

沸騰しきってしまうとお湯に含まれていた酸素が空気中に出てしまうのだ。

棚からティーポットを取り出して、茶葉を入れ、お湯を注ぐ。

高い位置から、お湯に空気が混じるように注ぐ。

これで朝食の準備は終わりだ。

それらをお盆にのせてキッチンからダイニングテーブルまで運ぶ。

テーブルの上に、山のように積まれた書類をどかしてスペースを作る。

私は椅子に座ると、ポットから紅茶を注いだ。

手を合わせて、いただきますを言うと紅茶を一口飲んだ。

書類の山の上に乗った写真を再び眺める。

二人とも本当に幸せそうだ。

仕事が一段落したら一度日本に帰ろうかしら、などと考えている自分に驚く。

思わず笑みが零れた。

きっと日本は嫌になるくらい暑いだろう。

でも、久しぶりにあの暑さを味わうのも悪くない気がした。

しかし、その前に片付けなければいけない仕事が山積みだ。

私は仕事に取り掛かるために急いでトーストに噛り付く。

窓から少し強く風が吹き込んできた。

カーテンが煽られて揺れている。

涼しい風が部屋を吹き抜けていった。

私は再び日本の暑い夏に思いを馳せた。



















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