過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」2
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/06/05(火) 01:14:30.15 ID:Awj1Gu8/o

「ねぇ、ほむらちゃん。聴こえない?」

 そう言って、彼女は笑い、左手を上げた。
 手首から先が無い。虚無だけが残る空っぽのがらんどう。
 私と同じ。

「私には聴こえるよ。たくさんの人の、優しい声が」

 同じだけれど決定的に違う。
 ほむらには聴こえない。
 そんな声は聴こえない。

「私はあなたとは違う、私の居る場所には何も聴こえない、私は、もう……っ」

「それじゃあほむらちゃんもこっちに来ちゃえばいいんだよ」

「無理よ! 私はもう戻れない! 私は魔女になって死んだのよ!」

 ほむらが叫ぶと、まどかは少しだけ困ったような顔をした。
 それから形のある右手を開きながらこちらへ伸ばして、さらに困ったように肩をすくめて見せる。

「ごめんねほむらちゃん。私、ほむらちゃんをそこから連れ出したいのに、連れ出してあげられないや」

 まるで見えない壁が阻むと言いたげに、まどかは開いた右手をそっと止めた。
 次に、先の無い左手をこちらへ、ぐん、と伸ばした。
 左手は見えない壁を乗り越えて、私のすぐ目と鼻の先に突き出される。

「私に出来る精一杯は、ここまでだよ」

「……なに、を」

 まどかは凛とした表情を作ると、胸を張ってほむらと目を合わせた。



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