17: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:07:51.48 ID:bzATqBdvo
夕日が差し込み、図書室の一角をオレンジ色に染めている。
黒い影とのコントラスト。
その様子に目を奪われていると、
なっちゃんの手が止まっていることに気付いた。
18: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:08:47.49 ID:bzATqBdvo
「わかってるって。じゃあさ、本屋だけ行こう」
「ちょうどいいわね、買いたい本があったのよ」
和ちゃんも乗り気のようだ。
19: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:09:44.51 ID:bzATqBdvo
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本屋に入り真正面の手帳コーナーを眺める。
様々な手帳を見ながら『もう十二月なんだな』と、
時間の流れを意識して、足は文庫コーナーへ向かった。
20: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:10:10.76 ID:bzATqBdvo
早々にレジを済ませ鞄に放り込み、
漫画コーナーをうろついているなっちゃんに声を掛けた。
「なっちゃん何買うの?」
21: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:10:46.84 ID:bzATqBdvo
雑誌コーナーに足を運ぶと、和ちゃんと英子ちゃんの姿を見つけた。
棚にはライフスタイル、料理、暮らし、といったラベルが貼られている。
「風子、私雑誌見てくる」
22: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:11:17.54 ID:bzATqBdvo
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私たちは本屋をあとにし、しばらく歩いた。
雑貨屋、服屋、ファーストフード店、誘惑に耐えつつときには耐えられず。
23: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:11:50.77 ID:bzATqBdvo
二人と別れたあと、なっちゃんと夕焼けの道を歩いた。
荷物を持ってあげようかなと思いつつ、
そこまでするのは変だなと考え直し、
当たり障りのない話題を振りながらしばらく歩いた。
24: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:12:23.45 ID:bzATqBdvo
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夕食を終えてお風呂に浸かっていると、
昼間何を考えていたのかわからなくなりそうだ。
25: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:13:15.81 ID:bzATqBdvo
晩御飯を食べる、お風呂に入る、勉強に取り掛かる。
受験が終わるまでこのリズムは崩さないだろう。
合格するために勉強する、第一志望に合格しみんなと離れ離れになる。
まるで一人になるために勉強してるみたいだ。
26: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:13:50.19 ID:bzATqBdvo
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たまには一人で勉強するのもいいものだ、教室には人一人居ない。
オレンジ色が教室を染めている。椅子、机、教壇、それに私。
幻想的ではないけれど心が落ち着く。
27: ◆I38.07w0MY[sage saga]
2012/06/09(土) 21:14:19.21 ID:bzATqBdvo
「もうすぐ卒業だね」
何気なく話し掛けた、この時期の学生はそれが挨拶だという風に。
彼女は「そうね」と軽く言いまた用意に戻った。
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