過去ログ - QB「魔法少女達の軌跡」 -SS速報VIP

過去ログ - QB「魔法少女達の軌跡」

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232:激弾・紅孔雀[saga]
2012/12/06(木) 20:27:46.71 ID:U3hwOY4R0

――……アハ……アハハハハハッ!!

【武闘】の魔女“エリミネーター”その性質は【排除】

　赤黒い人型の魔女が、その姿をついに見せた。体に纏う多数の布が、ヒラヒラとなびいている。
「……ここは、先手必勝じゃん!!」
　我先に飛び出したのは知美。自分の残りの魔力が少ない分、短時間で一気に決着を決める考えだ。
「迂闊に近づくな!!　捕まるぞ!!」
　和は知美に向けて叫んだ。しかし、知美の耳には届いていない。
　真正面から特攻を仕掛ける、と見せかけて瞬間移動を発動させ左に現れ、今度は右側に移る。動いて魔女を翻弄し、一気に薙刀で突き刺す……筈だった。
　バチン、と薙刀は魔女の目前で受け止められていた。
（……マジか!?）
　次の瞬間には、薙刀と腕に魔女の布が絡みついていた。知美がヤバいと感じた所で、時既に遅い。即座に全身に布が絡みつき、あっさりと拘束されてしまう。
　身動きが取れなくなってしまうどころか、布が首元に巻き付いてきた。
「だから言ったんだよ……」
　和の口から、舌打ちが飛び出していた。しかし、悠長にしていれば知美は絞殺される。
「近づけないなら……こうするしか無いよね!!」
　圭の拳から、魔弾が発射された。高速で撃ち出した魔弾は、真っ直ぐに魔女の元へ飛んでいく。
　しかし、軌道が丸解りだった。魔女はその場から飛び立って、魔弾を回避。
　そのまま魔女の着地した場所は、洋子の目の前だった。
（……しまった!!）
　魔女が次に狙ったのは、洋子だ。この面子の中で、遠距離攻撃に一番長けているのは、拳銃が武器の洋子である。相性の悪さから、魔女が狙うのも無理は無い。
「……!!」
　真正面に立つ魔女に向けて、洋子は銃の引き金を引いた。バン、と銃声が鳴る。魔弾は確実に命中していた。
　しかし、魔力を溜める時間が短すぎ、倒す程の威力は発揮できていなかった。
　洋子の体、そして首にも布が巻き付いた。これで、二人が捕まってしまう。戦況は明らかに良くない。
（撃つよりも、バリアを張るべきだった……）
　拘束される最中、洋子は一瞬の判断のミスを悔やんだ。死と隣り合わせの戦いは、一瞬でも判断を誤れば、即座に落命に繋がる。
　魔女の布が、二人の首をギリギリと締め上げる。短時間で魔女を倒さなければ、二人は確実に死んでしまうだろう。
「やりやがったな!!　このクソ魔女!!」
　親友が捕まるのを、圭が黙って見ている訳が無い。しかし頭に上った血は、相当に煮えたぎっていた。冷静になる所か、怒りに身を任せて、単身で魔女に攻撃を仕掛けた。
「喰らいな!!」
　標的を目掛けて、渾身の右拳を繰り出す。
　だが、バシン、と真正面から受け止めていた。そして、圭の右手にも魔女の布、即効でが絡みついていく。
「……その手は通じないよ!!」
　圭は罵るように叫んだ。布が絡みついたまま、右腕を力任せに引っ張り上げる。更に、腕力に物を言わせて、魔女の体をぶん投げた。
　綺麗な放物線を描いて、魔女の体は地面に叩きつけられた。相当に衝撃が強かったらしく、知美と洋子の拘束も解けてしまう。
「これなら、動けないだろ!!」
　止めを刺すべく、圭の左拳には魔弾が充填されていた。
「大人しくなりな!!」
　魔女の胴体に、魔弾が深々と突き刺さり、結界の隅にまで弾き飛ばされていた。今度こそ、魔女に大きなダメージを与える事が出来ていた。
　圭の右腕と引き換えにして。
（……ヤバい……右手が動かない……）
　強引な投げ技により、圭の右腕は骨折していた。腕から走る激痛で、圭は地面に片膝を付いてしまう。
　拘束から逃れた洋子と知美も、ダメージが著しい様でまだ起き上がれない。

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