過去ログ - キミの世界は、ボク一人
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31:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/09(月) 12:33:09.32 ID:pjljpuy1o
並んで歩くボクと後輩ちゃん。
どこへ向かっているのか、ボクは知らない。
メールの中身が『遊びに行きましょう、先輩!』だけだったからだ。
今までこうして誘われた経験なんて数えるほどもないものだから、何を話していいのか分からずボクは黙ってついて行く。
きっと後輩ちゃんは、こういうの慣れてるんだろうし。


32:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/09(月) 12:38:09.87 ID:pjljpuy1o
「先輩、着きましたよ」

ここは……映画館?

後輩ちゃんが指を指した先には、少し古びた映画館が一軒。
以下略



33:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[sage]
2012/07/09(月) 12:39:46.29 ID:pjljpuy1o
インスピレーション沸いたらまた夜にでも


34:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/11(水) 20:01:09.24 ID:XCNvRIvjo
中の様子は、概ね建物の外観通りで薄暗く、人の数もまばらだ。
受付には、この映画館と共に歳を重ねたかのようなご老人が座っている。
周りに上映中の映画のポスターなどはほとんどなく、あったとしても色あせた物ばかり。
これでは何の映画をやっているのか分からないのではないかと思うのだが。

以下略



35:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/11(水) 20:03:51.00 ID:XCNvRIvjo
「今日もやってる?あれ」

「あぁ、いつも通りさ……しかし楓ちゃんも、もうそんな歳になったんだねぇ……」

ご老人が、ボクの方を見つめた。
以下略



36:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/11(水) 20:04:57.25 ID:XCNvRIvjo
あ、映画の料金……

ボクはポケットへと手を伸ばそうとしたが、ご老人は首を振ってそれを静止した。

「人様からお金を取れるほどのことはやってないよ……それよりも」
以下略



37:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/11(水) 20:12:07.01 ID:XCNvRIvjo
薄暗い館内にはボク達以外にも数人の客がいるようだが、最年少はボク達のようだ。
なので薄暗い中でも後輩ちゃんを見つけるのに、そう時間はかからなかった。

「この映画館、私のお気に入りなんです……週一回だけしか開けてないし、やってる映画は毎回同じなんですけどね」

以下略



38:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/11(水) 20:15:54.69 ID:XCNvRIvjo
ビーッ

耳に付く警戒音のようなものが響き、同時に幕が開く。
どうやら始まるらしい。

以下略



39:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/11(水) 20:22:22.48 ID:XCNvRIvjo
映画の内容を端的に言えば、戦争へ行く男を見送る恋人……と言った所だろうか。
洋画だが、派手な演出などは抑え目に人間ドラマを中心に描いた作品だった。
どこでもよく見かけるような、よくある内容。
冷静な目で見ればB級映画というやつなのだろう。

以下略



40:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/11(水) 20:32:14.46 ID:XCNvRIvjo
エンドロールが流れ、館内が少し明るさを取り戻した時、ボクの目は涙で一杯になってた。
こういう時本当に、自分が涙もろい話に弱いこと自覚させられてしまって悔しい。

「ぜんばい……どう、でしだ……?」

以下略



41:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/11(水) 20:36:53.84 ID:XCNvRIvjo
何故だか少し微笑んでいたご老人の視線を受けつつ、ボク達は外へ出た。
あまりにも薄暗い中にいたものだから、そんなに明るくない外でも目がチカチカしてしまう。

さて……これから、どうする?

以下略



42:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[sage]
2012/07/11(水) 20:37:21.96 ID:XCNvRIvjo
続く


43:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/14(土) 05:55:02.57 ID:jjXwkWgTo
少し暮れかけの空。
公園のタイヤに二人並んで座り、ボクらはそれを眺めていた。
連れてこられて座らされて、なのに後輩ちゃんは黙ってて。
静かな方が好きなボクだけど、こういう静かさは好きになれそうもない。

以下略



44:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/14(土) 05:55:33.45 ID:jjXwkWgTo
突然立ち上がった後輩ちゃん。口から勢いよく白い息が飛び出す。
座っているボクの目線の前にあるものだから、ついつい顔より一瞬ズボンから覗く生足へ目が行ってしまう。
すぐに後輩ちゃんの顔へと顔を向け直すと、後輩ちゃんは少しムスッとした顔でこちらを見ていた。

「……もう」
以下略



45:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/14(土) 05:56:03.16 ID:jjXwkWgTo
大雨降りしきる世界に、ボクは一人で立っていた。
風が強く吹き付け、雷が轟々と鳴り響く。
そんな中でもボクはキミの姿を探すが、影も形もそこにはいない。
当たり前なのは、分かってた。だけどキミに答えを求めようとしてた。
仮にここにキミがいたとしても……きっとキミは困ったようにボクを見つめることしか出来ないだろう。
以下略



46:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/14(土) 05:57:16.76 ID:jjXwkWgTo
……はぁ

キミと出会ってから、大分強くなれたと思っていたけど……どうやらそれは、キミへの依存で得た力だったみたいだ。
ボク一人になってしまえば、こんなもん。
吹き荒れる風を止めることも、鳴り響く雷を止めることも、出来やしない。
以下略



47:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/14(土) 05:57:43.97 ID:jjXwkWgTo
……あ

「……」

びしょ濡れのキミの瞳が、ボクを見つめる。
以下略



48:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/14(土) 05:58:12.76 ID:jjXwkWgTo
夕方の部室で、ボクは一人本を読んでいた。
昔買って一回読んでから放置していたライトノベル。
読み返してみると意外と細かい部分を忘れているのだな、と思わされる。

「あれ、部長……珍しいっすね、先にいるなんて」
以下略



49:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/14(土) 05:58:38.98 ID:jjXwkWgTo
……後輩ちゃんは?

「あいつですか?なんかあいつ、放課後なったらすぐどっか行っちゃってですね……」

大体予想してた答えが返ってきた。
以下略



50:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[saga]
2012/07/14(土) 05:59:06.78 ID:jjXwkWgTo
……あ、そうだ。後輩くん

「ん、なんですか部長」

設定ね、少しだけど考えてきたよ。
以下略



51:卵かけご飯する者  ◆ZZgvzQZhlY[sage]
2012/07/14(土) 05:59:51.35 ID:jjXwkWgTo
終わる


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