23:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:31:23.93 ID:n3CjMYIK0
「仕事が上がったら逢いましょう。そこに名前と連絡先を書いておいたから」
「お、いいね。それじゃあ、店が終わったら、ふたりでどっか感じのいい場所にでもいこうか」
「期待してるわ」
コブラの頬にキスマークをつけると、ホステスが四人のテーブルから去っていく。
ホステスの後姿を拝みながら、コブラが二ヒヒと笑った。
メロウリンクの突き刺さるような視線に晒されながら、それでもコブラは意に関さずと言わんばかりに受け取ったマッチを指で弄ぶ。
キリコとシャッコは、ただコブラにあきれ返っている様子だった。
「ん、どうしたんだ、三人とも?」
あきれた顔のふたりと、怒ったような顔をしたひとりにコブラが不思議そうに聞く。
「別に」
コブラの態度に業を煮やしたメロウリンクが舌打ちする。
「おいおい、人生は一度切りなんだぜ。せいぜい楽しまないと勿体無いぞ」
口笛を吹き、コブラが三人に向かって笑い飛ばした。
メロウリンクにはコブラのおどけた道化師じみた真似は理解することはできない。
だが、リラックスしながらも、いつでもマグナムパイソンを引き抜けるように、つねに手元に空けている用心深さだけは理解できた。
低く落とした店内の照明が、明かりを増しながらホールの中央を映す。ナチが姿を見せた。
「お、ありゃ、ナチじゃないか。こんなとこであいつ何してんだ」
裾に深い切れ込みの入った白いチャイナドレスを揺らし、太腿の素肌を客に拝ませながら細い指でマイクを握る。
黒服の男がピアノの鍵盤に指を走らせた。ナチが歌いだす。
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