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2012/07/16(月) 12:49:58.68 ID:v7qkXDwu0
黒辻「C、あなたは紗也加とシロの匂いを辿って、と言ったわね。あのスプレーにはもしかして」
小学生C「うん、シロの匂いも入っていたんだ。シロはメスなんだ。バレーのお姉さんは以前シロを抱えてたから、あの野良犬達はみんなオスだから興奮作用と合わせてお姉さんがシロを連れて行った場所に向かうと思ったんだ。でも犬はお姉さんを襲ってしまった。本当にごめんなさい」
紗也加「君があの犬の飼い主だったのね。ごめんね」
小学生C「いや、悪いのは僕です。僕、お姉さんにも話しかけようと思ったけど、知らない人に声をかける勇気がなくて、だからこんなことをしてしまったんです。お姉さんにはとても迷惑かけちゃった」
紗也加「C君って言ったわね。ちょっと一緒に来て欲しいの」
河原の外れ
橘「ここは? 土が盛り上がってその上に靴の片側が置いてある。もしかして」
紗也加「私が作ったお墓よ。シロっていう犬のね」
小学生C「!」
紗也加「部活の帰り道、私は河原でぐったりしていた犬を見つけたの。私はその犬をしばらく看病したわ。犬は少し元気を取り戻したけどまたどこかに行ってしまった。それから学校の帰り道、何度か河原を彷徨っているあの犬を何度か見かけるようになったの。何かを探している様子でね。ある日、私は川に溺れかかった犬を見つけたの。ちょうどこの辺りでね。その犬は今お墓の上にある片側の靴を咥えてた。私は犬をまた家に連れて看病したんだけどその犬は亡くなってしまったの。私は弔ってあげようと思っていつも見かけたこの河原にお墓を作ったの。お墓の場所を忘れないようにあの犬が咥えてた靴をのせてね」
小学生C「この靴、僕がシロと遊んでたときになくした靴だ。シロ、まさかこの靴を探す為に病気で思うように動けない体を動かして……うわーーーーーん。どうして僕は…僕はーーー」ポロポロ
紗也加「ごめんね。君の元に返してあげられなくて」グスッ
黒辻(何なの、この胸が苦しい感じは。私には…関係ない…ことなのに)
小学生Cはしばらく泣き続けた。周りを見ると森島先輩も泣いていて、栗生さん、他の小学生二人も涙ぐんでいた。僕も目頭が熱くなるのを感じた。黒辻さんは後ろを向いていてどんな表情をしているのかはわからなかった。でも、その後ろ姿は一緒に悲しんでくれているんだと思った。彼女は自分が悲しい表情をしているのを見られたくなかったんだと思った。
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