111:猫宮[saga]
2012/11/18(日) 18:19:43.02 ID:k9KWVTOk0
「そんな事……、そんな事あるはずないでしょ、憂ちゃん……。
憂ちゃんは私によくしてくれてるし、優しくないなんてそんな事あるはずないよ。
憂ちゃんが優しくて思いやりがある子だから、私は……。
それが辛くて……、嫌で……、嬉しくて……、悲しくて……。
大体、憂ちゃんは『お試しお願い』を唯さんのために使ったんでしょ?
そんなの、簡単に出来る事じゃないよ。
誰かのために自分のお願いを使えるなんて……。
特に自分の事ばっかり考えちゃってる私なんかには……。
それに、まだ教えてもらってはないけど、
きっと『一生に一度のお願い』の方も唯さんのために使ったんだよね?
『お姉ちゃんをずっと幸せにしてあげて下さい』みたいな、そんなお願いをしたんでしょ?」
私はその自分の言葉を憂ちゃんに同意してもらいたかった。
憂ちゃんが優しくない子だなんて、私が一番認めたくなかった。
憂ちゃんが優しい子なんだって事は、私だってよく分かってるんだから……!
だけど。
憂ちゃんは困った苦笑を浮かべたまま、
その首をゆっくりと横に振って、静かで穏やかな声で続けた。
「ううん、違うよ、梓ちゃん。
内容はまだちょっと……、教えてあげられないけど……。
でもね……、『一生に一度のお願い』の方はお姉ちゃんの事をお願いしなかったんだ。
お姉ちゃんの事はお願い出来なかったんだ。
本当だよ?
勿論、証明は出来ないんだけど、信じてくれる?」
私としては信じたくない言葉だったけど、憂ちゃんが嘘を言っているとは思えなかった。
憂ちゃんはいつも私に対して真剣に向き合ってくれる子だったから。
今回の言葉からも憂ちゃんの真剣な態度が感じられたから。
だから、私は憂ちゃんの言葉を信じるしかなかった。
でも、一つだけ気になった言葉があった。
「『お姉ちゃんの事はお願い出来なかった』……って?」
私が訊ねると、憂ちゃんは視線を私から逸らして彷徨わせ始めた。
きっとその答えを私に伝えるべきかどうか迷っているんだろう。
それくらい、憂ちゃんにとっても秘密にしていたい事に違いない。
だけど、憂ちゃんは小さく頷くと、私の無遠慮な質問に答えてくれた。
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