過去ログ - 梓「サナララ」
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13:猫宮[saga]
2012/07/07(土) 17:58:11.49 ID:THTp/il80
「教えてくれてありがとうございます、中野さん。
素敵な名前ですね。中学一年生くらいですか?」


「中三なんですけど……」


「えっ? そうなんですかっ?
実は私も中三なんですよ。
同級生だったんですね、中野さん!」


私の言葉に平沢さんが驚いた声を上げた。
自分で鑑みるのも嫌なんだけど、私は小柄な方だ。
女性的な曲線ってやつにもまだ乏しいし、
実年齢より幼く見られる事なんて日常茶飯事なんだよね、悲しい事だけど……。
でも、中学一年生って言ってくれただけ、まだよかったのかも。
酷い時なんて、小学生に間違えられる事もあるもんね……。
確かに小六で私より大きな子なんて沢山居るしね……。

でも、驚いたのは私の方も同じだった。
同級生くらいだと思ってはいたけど、
平沢さんがまさか本当に同級生だなんて思ってなかった。
落ち着いた雰囲気もあったから、てっきり高二くらいだと思ってたんだよね。

私達が同級生……。
そう考えた瞬間、私はつい軽く笑ってしまっていた。
何だかとっても滑稽な気がしたからだ。
抑え切れず、私は笑い声を漏らしてしまう。


「あははっ」


「えっ、えっ?
どうしたんですか、平沢さん?」


「あははっ、だって……、
同級生で気を遣い合って敬語で話し合うなんて、何だかおかしくて。
私の方はいいよ?
平沢さんの事、二歳くらい年上だって思ってたんだもん。
でも、平沢さんったら、自分より二歳は年下だと思ってた子に敬語使ってたんでしょ?
律儀と言うか丁寧と言うか……、あはははっ」


「え、でも、初対面の人ですし……」


私がどうして笑ってるのか分からないって様子で、平沢さんが真顔で呟く。
多分、平沢さんの言っている事の方が間違ってないんだろう。
年下とは言え、初対面の人間には敬語で話し掛ける方が確かに普通だ。
でも、そう分かってても、年下の子に丁寧な敬語で話し掛ける人なんてほとんど居ない。
それを律儀にやっちゃうのが平沢さんって子なんだろう。
やっぱり今まで私の周囲には居なかったタイプの子だ。
新鮮で、何だか楽しい。


「中野さん……?」


平沢さんが戸惑った表情を私に向ける。
その平沢さんの様子を見て、私はまたこの子の事をよく知りたいって思った。
『一生に一度のチャンス』って言うのが何なのかまだ分からないし、物凄く胡散臭い。
でも、それを抜きにしても、私は平沢さんにとても興味を持った。
まだ確証は無いけれど、平沢さんが嘘を言ってないって気までしてる。
だから、私はもっと平沢さんの事を知りたくて、笑顔で言った。


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