27:猫宮[saga]
2012/08/02(木) 18:56:06.82 ID:SOU6xWSH0
「前の『ナビゲーター』の人ってどんな人だったの……?
話を聞く限り、かなり変質者に近いよ、その人……。
耳に息を吹き掛けたり、水着の女の子を待ってたりとか……。
平沢さん、大丈夫だった?」
「あ……、あはは」
平沢さんが困ったように苦笑する。
平沢さんもその前の『ナビゲーター』の人について思う所も多少あったらしい。
私だったら、そんな人に『チャンスシステム』の説明をされても、信用出来ないなあ……。
でも、平沢さんは真剣な表情になって、私の瞳を覗き込みながら続けた。
「大丈夫、安心して、梓ちゃん。
確かに変わった人だったけど……、でも、素敵なお姉さんだったんだ。
大人の女の人で、ふざける事も多かったけど、決める時はしっかり決めて……。
一生に一度のお願いが決まらなかった私の相談にも乗ってくれて……。
本当に素敵なお姉さんだったなあ……。
また……、会えるかなあ……」
平沢さんがそう言うんなら、きっと本当に素敵なお姉さんだったのだろう。
私も一度見てみたい気はする。
会話はあんまりしたくないけどね……。
とにかく、平沢さんがその人に変な事をされたわけじゃないのは何よりだった。
安心した私はその言葉を軽い感じに言ってしまっていた。
「だったら、また会いに行けばいいんだよ、平沢さん。
あ、今は『石ころ帽子』状態だから無理か……。
じゃあ、平沢さんの『ナビゲーター』の役割が終わった時にでも……」
瞬間、平沢さんが軽く首を横に振った。
「どうして?」と私が訊ねるより先に、平沢さんは口を開いていた。
「残念だけど無理なんだよ、梓ちゃん……。
さっき『ナビゲーター』の存在感が薄くなる本当の理由について話してたよね?
はっきりしてるわけじゃないけど、その本当の理由はね……、
『チャンスシステム』が終わった後の事後処理を簡単にするためだって思うの」
「事後処理……?」
「実はね、梓ちゃん……。
『チャンスシステム』が終わったらね……、
システムの事、お願いが叶った事、何もかも全部忘れちゃうんだよ……」
「えっ……?」
嘘でしょ?
とは続けられなかった。
平沢さんの表情を見るだけで、その言葉が真実だって事はよく分かったから。
同時に『チャンスシステム』は本当によく出来たシステムなんだって感じさせられた。
私は多分複雑な表情を浮かべて、平沢さんに訊ねていた。
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